SNSやブログ、ツイッターなど、インターネット上で情報を発信する際に、他人の著作物(文章や画像など)を利用したい時があります。しかし、著作物には著作権があり、原則無断で使用することはできません。
著作権は小説、ブログなどの文章以外にも、音楽、美術、映画といった様々な著作物にある権利です。今回、著作権のなかでも特にインターネット上で情報を発信する際に注意すべき他人の文章や写真の利用について調べてみます。
前編では主に「著作権の概要」について調べました。
後編では「他人の著作物の利用」をする場合について調べます。
著作権の例外規定について
原則、著作権の保護期間内にある著作物については、著作権者の許可なしに利用することはできません。しかし、いくつかの例外規定が設けられています。それらのなかで、文章や写真に関する例外についてご紹介したいと思います。
まず、著作権者の許可を得ないで例外的に利用できるケースをご紹介する前に、以下の著作物にはそもそも著作権がないとされています。
<権利の目的とならない著作物(著作権法第13条)>
(1) 憲法その他の法令(地方公共団体の条例,規則を含む。)
(2) 国、地方公共団体又は独立行政法人・地方独立行政法人の告示、訓令、通達その他これらに類するもの
(3) 裁判所の判決、決定、命令など
(4) (1)から(3)の翻訳物や編集物で国もしくは地方公共団体の機関、独立行政法人・地方独立行政法人が作成するもの
文章についての例外規定として、「引用」をする場合は著作権者の許諾を得ずに著作物の利用が認められています。しかし、「引用」の際には次にあげる条件を満たさなければなりません。
【条件】
1 すでに公表されている著作物であること
2 「公正な慣行」に合致すること
3 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
4 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
5 カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
6 引用を行う「必然性」があること
7 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
ここでいう「公正な慣行」とは、一般的に著作物の引用行為として実際行われており、社会感覚として妥当であることを指します。
「主従関係」について、「主」と「従」の文章量についての明確な割合はなく、一般的な社会感覚に照らし合わせて判断することになると思いますが、「従」の割合はせいぜい15%程度までとも言われています。
次に写真についてです。他人が撮影したものを利用するには、自由な利用が認められている画像か、もしくは著作権者から許可を得る必要があります。また、自分が撮影した写真でも著作権がある絵画などを撮影したものは、インターネット等で公開することができません。
しかし、建築物や銅像など、路上や公園、その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置されているものを写した写真については使用することができると、著作権法第46条にあります。
その他、意図して撮ろうとした対象の背景に、絵画等の著作物が小さく写り込む場合などは、著作権者の利益を不当に害しないことを前提として使用が認められます(著作権法第30条の2)。
著作権の話から少しそれてしまいますが、撮影した写真をインターネット上に公開する際、著作権以外に注意しなければいけないものに「肖像権」があります。肖像権とは、「勝手に自分の顔や姿を、他人に撮影、描写、公表などされない権利」であり、本人と判別がつく写真は許可なしに使用することができません。
利用することができる著作物
ブログやSNSなどインターネット上で情報を発信する際に、他人の文章や写真を利用できるケースをまとめてみると、以下のようになります。
・著作権の保護期間が終了したもの。
・著作権者が自由に使用を認めているもの。
・著作権者から利用の許諾をうけたもの。
・日本で著作権が保護されていないもの。
※保護されていないものとは、次の3つの条件を全て満たす著作物です。
1.日本国民以外が創作した著作物
2.最初に海外で発行された著作物(発行後30日以内に日本で発行されていないこと)
3.条約によって日本が著作物の保護の義務を負わないもの
(※ちなみに、日本はほとんどの国と著作物を互いに保護する条約を結んでいます。)
・規定により例外的に使用が認められるケース
以上、インターネット上で情報を発信する際の文章や写真の著作権について調べてみました。
参考WEBサイト
紹介:sKenji