東京電力が「汚染水ではない」とする水はセシウム-137が8,700Bq/L
2月28日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
第二モバイル型ストロンチウム除去装置「装置3」の連続運転開始
※第二モバイル型ストロンチウム除去装置の装置3について、これまで原子力規制庁による検査にて通水試験などを実施していたが、設備や機能に異常がないことが確認されたことから、2月27日午後2時16分、連続運転を開始。
同日午後2時30分、運転後の状況について、漏えいなどの異常がないことを確認。これにより、当該装置は4基中3基(装置2、3、4)の運転を開始。
4号機タービン建屋1階南側で漏洩の続報。滞留水と比較すれば濃度は低いとはいえ、セシウム-137が8,700Bq/L
※2月27日午前11時19分頃、4号機タービン建屋1階南側エリアの漏えい検知器が動作し、当社社員が現場確認に向かっていたところ、同日午前11時23分に解除された。その後、再度同日午前11時42分に検知器が動作した。
漏えい範囲は、約20m×約6m×深さ最大約1cm。
現場を確認したところ、漏えいした水はタービン建屋補機冷却系の水抜き作業に起因するものであり、汚染水ではないことを確認。(既出)
当該漏えい水の分析結果は以下の通り。
<4号機タービン建屋1階漏えい水>(午後1時40分採取)
セシウム134:2,500 Bq/L
セシウム137:8,700 Bq/L
なお、建屋外への漏えいはなく、この値はタービン建屋滞留水と比較して低い値であることを確認。漏えいした水については、タービン建屋地下へ移送処理を実施。
・地下に溜まった高濃度の滞留水が1階部分に漏出したという事態ではなかった。
・漏れたのはタービン建屋内の機器を冷却するための水。
・しかし、その冷却のための水でさえ、環境下にあってはならない極めて高い濃度。
セシウム134:2,500 Bq/L
セシウム137:8,700 Bq/L
※このような汚染された水が、建屋1階部分で漏洩しうる状況にあるということを、しっかり確認しておく必要がある。
1号機〜2号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
3号機 〜タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を停止
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(平成27年2月23日午前10時39分~2月28日午前9時55分)
※滞留水移送は停止中
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス 〜通算51回目の海洋への排水を開始
2月28日午前10時11分、海洋への排水を開始。同日午前10時31分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月27日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
E-1の全ベータ値
2月18日採取 4,200Bq/L
2月19日採取 52,000Bq/L
2月20日採取 30,000Bq/L
2月21日採取 10,000Bq/L
2月22日採取 7,200Bq/L
2月23日採取 6,800Bq/L
2月24日採取 5,600Bq/L
2月25日採取 4,500Bq/L
2月26日採取 5,100Bq/L(20日以降下降を続けてきたが、前回の1.13倍に上昇)
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
G-2のトリチウム値
2月18日採取 180Bq/L
2月19日採取 1,700Bq/L
2月20日採取 1,200Bq/L
2月21日採取 1,100Bq/L
2月22日採取 1,200Bq/L
2月23日採取 1,000Bq/L
2月24日採取 210Bq/L
2月25日採取 200Bq/L
2月26日採取 170Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
2月27日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水での最高値は「iの北東側」で170Bq/Lに上昇。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」で64,000Bq/Lに下降。「iiの北東側」は4,500Bq/L。「iiiの北東側」で2,700Bq/L。「iiiの南西側」で11,000Bq/L。(ともに全ベータの値)