原発構内の側溝で最高7000ベクレル超の汚染水。溢れると困るので直に流しましたとの驚きの記載も
2月22日(日曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
港湾に直結する排水側溝で5,000ベクレルを超える放射能。発生源はいまだ不明
※2月22日午前10時頃、構内側溝排水放射線モニタ「高」警報が発生。その後、午前10時10分頃、構内側溝排水放射線モニタ「高高」警報が発生。午前10時20分、当該放射線モニタの指示値については、以下のとおり。
・A系:5.05×10^3Bq/L(全ベータ)
・B系:5.63×10^3Bq/L(全ベータ)
午前10時25分、全汚染水タンクエリアの止水弁が「閉」となっていること、午前10時30分、全汚染水タンクの水位に有意な変動がないことを確認。
午前11時頃に採取した当該排水路の分析結果について、
・セシウム134:4Bq/L
・セシウム137:11Bq/L
であった。(全ベータについては、分析中)
この分析結果は、定例で分析している当該モニタ近傍の昨日(2月21日)の分析結果
タンク脇側溝(C排水路の合流点前)
・セシウム134:検出限界値未満(15Bq/L)
・セシウム137:検出限界値未満(23Bq/L)
と比較して、低い値であった。
午前11時46分までに、多核種除去設備、増設多核種除去設備、高性能多核種除去設備、RO濃縮水処理設備、モバイルストロンチウム除去装置(A系・B系・第二の2および4)を停止し、35m盤の移送をすべて停止。
当該放射線モニタA系は、午前11時50分に2.68×10^3Bq/L(全ベータ)を確認、当該放射線モニタB系は、午後0時20分に2.96×10^3Bq/L(全ベータ)を確認し、「高高」警報が解除。(「高高」警報設定値:3.0×10^3Bq/L(全ベータ))
午後0時20分、全汚染水タンクについて、タンクパトロールを完了し、漏えい等の異常がないことを確認。午後0時47分、排水路ゲートをすべて「閉」にした。当該放射線モニタA系は、午後1時30分に1.45×10^3Bq/L(全ベータ)を確認し「高」警報が解除となった。(「高」警報設定値:1.5×10^3Bq/L(全ベータ))
午後2時2分、当該モニタの警報発生時に汚染水の移送中であった系統の配管パトロールを実施し、漏えい等の異常がないことを確認。
午後2時50分現在、当該放射線モニタの指示値については、以下のとおり。
・A系:1.24×10^3Bq/L(全ベータ)(警報発生なし)
・B系:1.78×10^3Bq/L(全ベータ)(「高」警報発生中)
午後3時1分、当該排水路に溜まった水の排水のため、パワープロべスター(バキューム車)によるくみ上げを開始。
排水路、排水路出口および港湾内のサンプリングを実施するとともに、警報発生の原因について引き続き調査を実施。なお、モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されてない。
溢れると困るので直に流しましたという驚きの発表
5:23
今後、降雨の影響等により排水路内の水が溢水し、管理できないところで土壌に浸透する恐れ、さらには外洋への流出リスクを回避する目的から、B排水路およびC排水路に設置された全ての排水路ゲートを「開」完了。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~側溝排水放射線モニタ「高高」警報の発生で排水作業を停止。排水量は65トン
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日2月11日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。(既出)
2月22日午前10時3分、海洋への排水を開始したが、午前10時10分頃に構内側溝排水放射線モニタ「高高」警報が発生したことから、本日予定していた地下水バイパス一時貯留タンクグループ3からの排水について、午前10時18分に排水作業については延期することとした。排水量は65m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月21日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
H4エリア ~E-1の全ベータは30,000Bq/L
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
E-1の全ベータ値
2月18日採取 4,200Bq/L
2月19日採取 52,000Bq/L
2月20日採取 30,000Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
G-2のトリチウム値
2月18日採取 180Bq/L
2月19日採取 1,700Bq/L
2月20日採取 1,200Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年2月22日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
2月21日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水での最高値は「iの北東側」で170Bq/Lに低下。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」で100,000Bq/Lに上昇。「iiの北東側」は5,600Bq/L。「iiiの北東側」で3,000Bq/L。「iiiの南西側」で11,000Bq/L。(ともに全ベータの値)