12月8日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
5号機燃料取扱機に不具合発生
※12月4日、5号機原子炉において炉内の確認作業を行うため、燃料交換機マスト*を炉内に巻き下げ操作を実施したところ「空気圧低」の警報が発生するとともに、巻き下げができないことを確認。
その後、12月6日に再現性の有無について確認したところ、同様に巻き下げができないことを確認。今後、燃料交換機の点検を行い、原因等を調査する。なお、現在5号機では 原子炉内からの燃料取り出しに向けた原子炉開放作業を行っているところであり、これまで燃料の取り扱いは行っていない。
*燃料集合体を移動する際に使用する掴み具を昇降するための伸縮性のポール
2号機周辺サブドレン(井戸)の放射能濃度上昇に関するリリースを発表
これまで発表されてきた事柄を取りまとめる内容のリリース。
・高い放射能濃度となったNo.18、19は、さらに高線量等で復旧困難なNo.15、16、17と横引き管で連結されており、ポンプを動かしたことで放射性物質を引き込んだと原因を推定。
・建屋より山側の井戸だが、建屋内の滞留水よりも水位が高いため、滞留水の地下水への混入は考えられないとした。
・No.17を充填材で閉塞し、高濃度のNo.15、16と、No.18、19を分断。その結果、汲み上げ水の濃度低下傾向が確認できたと説明している。
4号機燃料取出しに関するページを更新
「11月15日より取り出した新燃料は6号機使用済み燃料プールに移送」との一文が追加されている。4号機使用済み燃料プールからの取り出しについて東京電力は、「完了は2014年末頃を目指します」としている。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月5日午前10時47分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置を運転
・セシウム吸着装置運転中
以下の項目については前日からの変更なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス
12月4日午前9時52分、海洋への排水を開始。同日午前9時56分に漏えい等の異常がないことを確認。午後3時26分に排水を停止。排水停止状態において異常のないことを確認。排水量は1,386m3。(既出)
同日、この際の南放水口付近の海水についてサンプリングを実施し、過去の測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
12月7日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。