11月22日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発の現状を考えます。
2号機原子炉建屋山側の井戸(サブドレン)で放射性物質濃度が上昇。井戸閉塞作業で溢れた水の影響か
※2号機原子炉建屋西側に設置されているサブドレンNo.19について、11月20日に採取した水の分析結果は以下の通り。
・セシウム134:2,100Bq/L(前回値:110Bq/L(11月13日採取)、
最大値:100,000Bq/L(10月22日採取))
・セシウム137:7,500Bq/L(前回値:340Bq/L(11月13日採取)、
最大値:360,000Bq/L(10月22日採取))
・全ベータ:8,500Bq/L(前回値:360Bq/L(11月13日採取)、
最大値:390,000Bq/L(10月22日採取))
前回値と比較して約20倍の上昇となっている原因としては、2号機原子炉建屋周辺サブドレンNo.15~19は連結されており、サブドレンNo.17の閉塞作業時の溢水がサブドレンNo.18に流入し、放射性物質濃度の比較的高いサブドレンNo.18の水がサブドレンNo.19に流れ込んだ影響と考えている。
その他の分析結果は前回と比較して有意な変動はない。今後も監視を継続していく。
なお、サブドレンNo17の閉塞作業は11月21日に終了。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月13日午後3時7分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算35回目となる海洋排出を開始
11月22日午前10時6分、海洋への排水を開始。同日午前10時15分に漏えい等の異常がないことを確認。
地下水バイパス揚水井分析結果 ~No.11の「※」はポンプ点検のため採取中止とのこと
12基ある地下水バイパスの汲み上げ井戸のうち、No.11は藻のような生物が大量に汲み上げられたとして10月15日から停止していると発表されてきた。その後も揚水井の分析結果ではNo.11の数値が発表されたり、「※」が付けられて発表されてきたが、この日発表された資料で「※」は「ポンプ点検のため採取中止」との注釈が付けられた。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
11月20日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年11月22日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
上記資料で分析中だったトリチウム(H-3)濃度を発表