2014年10月30日 今日の東電プレスリリース

サブドレンNo.18、19の地下水で観測される汚染の原因が、建屋滞留水による地下水への流入ではないとする東京電力の根拠

10月30日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

1~4号機建屋周辺のサブドレン観測井で高線量を検出しているNo.18、19の続報。建屋滞留水が流れ込んだものではないとする根拠とは

サブドレン集水設備系統図 | 10月30日 東京電力発表の資料「2号機西側サブドレンにおける放射能濃度上昇について」より ※号機名を加筆

サブドレンは建屋周辺に掘られた井戸で、事故より以前から設置されていた。地下水によって建屋が浮き上がらないように地下水の汲み上げを行うのが主な目的で、汲み上げられた水は海岸近くの集水タンクに集められるように配管されている。

東京電力はサブドレンで汲み上げた水を処理設備で浄化した上で、地下水バイパスと同様に海洋に排出したいとの考えを示しているが、地元漁師らの強い反発があり先行きは見通せない状況が続く。

そんな中で発生したサブドレン水の高線量。東京電力は状況と今後の対応について、日報と報道配布資料で発表した。

※2号機原子炉建屋西側に設置されているサブドレンNo.18およびNo.19について、

10月22日および23日にサンプリングした水のセシウム134およびセシウム137が、その周囲のサブドレンに比べて高い濃度であることを確認したことから、当該および周辺のサブドレンについて傾向を監視中。なお、No.18およびNo.19からの地下水汲み上げを、当面の間、停止。(既出)

その後の原因調査において、当該サブドレンは、高線量等で復旧をしていないサブドレンNo.15、No.16、No.17と横引き管で連結されていることから、10月29日に震災後初めてサブドレンNo.16の水の放射能分析を実施したところ、セシウム134で85万Bq/L、セシウム137で290万Bq/L、全ベータ放射能で320万Bq/Lという結果が得られた。

10月18日、19日にサブドレン浄化性能確認試験の一環で、当該サブドレン揚水ポンプを稼働した際に、連結管でつながっているサブドレンNo.15、No.16、No.17ピットから、放射能物質含んだ水を徐々に引き込んだものと推定。

また、これらのサブドレンは2号機原子炉建屋より山側に設置しており、水位は建屋滞留水の水位より十分に高いことおよび当該サブドレン水と2号機タービン建屋滞留水の放射能組成比は異なっていることから、建屋滞留水の流入ではなく、フォールアウトの影響によるものと考えられる。

今後、当該サブドレンと連結管でつながっている高線量等で復旧をしていないサブドレンピットの閉塞等を検討する。なお、原因の推定が出来たことおよび10月24日以降当該サブドレン水の放射能濃度は低下し、その値に有意な変動がないことから、作業員の被ばく低減の観点で、当該および周辺のサブドレンの放射能分析を1日1回から1週間に1回に頻度を変更し、傾向を監視する。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
   <サブドレンNo.18>
    (10月29日採取)
     セシウム134:3.2×10^2Bq/L
     セシウム137:1.1×10^3Bq/L
 
   <サブドレンNo.19>
    (10月29日採取)
     セシウム134:2.8×10^1Bq/L
     セシウム137:9.5×10^1Bq/L

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年10月30日

No.18,19ピットは高線量等で復旧不可と判断したNo.15,16,17ピットと横引き管で連結 | 10月30日 東京電力発表の資料「2号機西側サブドレンにおける放射能濃度上昇について」より

ポイントは、

▼No.18とNo.19のサブドレン(井戸)は高線量のために使用不可としていた別の井戸と地中でつながっていた

そのため濃度が上昇したのだと考えられる。

▼しかしながら、水位は建屋滞留水の水位より十分に高い
▼当該サブドレン水と2号機タービン建屋滞留水の放射能組成比は異なっている

だから、建屋滞留水が地下水に流入しているのではなく、フォールアウト(降下物。原子炉爆発などで飛散し、敷地内にある放射性物質の流れ込みという意味か)の影響によるものと考えられると、根拠を示した点。

サブドレンから汲み上げられる地下水については、「サブドレン他水処理施設」で浄化などの運転試験が行われている。東京電力は処理した後の水を地下水バイパスと同様に海洋に排出する計画を持っているが、地元漁師などの反発が強く、先行きは不透明だ。

汚染度が低い地下水だから何とかしたいと処理施設まで作ったのに、隣の汚れた井戸とつながっていました、とは! 驚くよりほかない。

29日に発表された「福島県漁連組合長会議説明資料」には、サブドレンから汲み上げた水を海洋排出するに当たっての計画が記されている。さらに、サブドレンピットの外観写真やタンク類の写真も掲載されている。本来なら漁連組合長会議という限定された利害関係者に対してではなく、漁業者はもちろん地元の人々を含めて広く国民に対して発信すべき事柄だ。

サブドレンピットから汲み上げられた井戸水の測定結果を通常表記に改めると、

<サブドレンNo.18>
(10月29日採取)
セシウム134:320 Bq/L
セシウム137:1100 Bq/L

<サブドレンNo.19>
(10月29日採取)
セシウム134:28 Bq/L
セシウム137:95 Bq/L

前日のデータは、以下のとおりだった。

<サブドレンNo.18>
(10月28日採取)
セシウム134:980 Bq/L
セシウム137:3400 Bq/L

<サブドレンNo.19>
(10月28日採取)
セシウム134:89 Bq/L
セシウム137:340 Bq/L

※前日比で約3分の1に急減。

非常用発電機に給油するNo.3軽油タンクを点検のため3月まで空に。別のタンクの運用設定値を変更

※No.3軽油タンクについては、平成26年10月30日から平成27年3月の期間で点検を予定。

点検に伴い、No.3軽油タンク内の軽油を全部抜き取るため、特定原子力施設に係る実施計画(以下、実施計画という。)III章第2編第62条(非常用ディーゼル発電機燃料油等)の表62-1で定める運転上の制限(ディーゼル燃料油No.3軽油タンクレベル:2,180mm以上)を満足できない状態となるが、実施計画III章第2編第74条(予防保全を目的とした保全作業を実施する場合)を適用し、あらかじめ必要な安全処置を定めた上で計画的に点検作業を実施する。

あらかじめ必要な安全処置としては、No.3軽油タンクから補給を行っていた5A、5Bおよび6Aの各非常用ディーゼル発電機のデイタンクに、No.6軽油タンクから補給を行えるようにするとともに、非常時の必要油量を確保するため、No.6軽油タンクレベルの設定値(運転上の制限値)を1,291mm上から2,346mm以上に変更。また、設定値(運転上の制限値)を逸脱しないように、No.6軽油タンクレベルの管理値を2,536mmとして運用。10月30日午前7時17分に当該タンクの点検作業を開始。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年10月30日

操作卓等の重量物が燃料の上に落下した3号機プールで、監視頻度を月1回に変更。放射性物質の分析結果に有意な変動が見られないため

※8月29日午後0時45分頃、3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業において、燃料交換機の操作卓が当該プール東側中央付近に落下したことを受け、当該プール水のサンプリングを継続実施中。放射能分析結果が前回と比較して有意な変動がないことから、燃料破損等の兆候は確認されていない。(既出)

これまでのプール水分析結果に有意な変動は確認されていないことから、監視頻度を現在の1回/週から、今後は1回/月に見直す。

使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:10月29日)
・セシウム134:1.7×10^2Bq/cm3
・セシウム137:5.1×10^2Bq/cm3
・コバルト60:1.3×10^0Bq/cm3

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年10月30日

リットル当たりの線量に換算

(10月29日採取分)
・セシウム134:170,000 Bq/L
・セシウム137:510,000 Bq/L
・コバルト 60:1,300Bq/L

前回(10月22日採取分)
・セシウム134:220,000 Bq/L
・セシウム137:700,000 Bq/L
・コバルト 60:990Bq/L

移動中の車両からエンジンオイルと思われる油漏れ

※10月29日午後10時55分頃、凍土壁の工事に従事している作業員が、4号機西側の道路から登録センターの交差点にかけて、移動中の車両からエンジンオイルと思われる油が滴下していることを発見した旨、午後11時10分に緊急時対策本部に連絡があった。

滴下した範囲の確認を行うと共に、滴下した油については吸着マットによる拭き取りを実施。午後11時30分に双葉消防本部へ一般回線にて連絡。その後、当該車両のオイルパンが損傷したことにより、エンジンオイルが滴下したことを確認。
漏えい範囲については、駐車場において約1m×0.5mであり、4号機西側の道路から登録センターの交差点までの路上に点在していることを確認。油の滴下は停止しており、滴下した油については、吸着マットおよび中和剤による処置が完了。また、漏えい箇所について受け皿を設置。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年10月30日

29日に発見されたタンクローリー車からの軽油漏れの続報。漏れたのは散水用タンクに水を入れるエンジンポンプの燃料フィルターから

※10月29日午前10時15分頃、Fタンクエリア南側において、タンクローリ車エンジン付近より軽油漏えいが発生した旨、同日午前10時23分に緊急時対策本部に連絡があった。

漏えいは、約1m×約1.5mの範囲で、地面に染み込んでいる状態であったが、止め弁を閉止したことにより軽油の漏えいは停止。また、漏えい箇所にビニール袋による養生も実施した。(既出)

その後の状況を確認した結果、散水用タンクに水を入れるエンジン付ポンプの燃料フィルターから軽油が滴下したことが分かった。

浪江消防署による現場確認の結果、同日午前11時37分に「事故ではなく軽油の滴下事象」と判断。同日午後0時30分に地面に滴下した燃料油(軽油)の回収、燃料油が付着したエリアの砂利の除去および中和処理を終了。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年10月30日

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

※滞留水移送は停止

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月27日午前10時43分~)

※滞留水移送は稼働中

◆3号機
1号機と同じ4項目。ただし「。」や「・」がある。
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中。
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中・

※滞留水移送は停止

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中