2014年9月10日 今日の東電プレスリリース

3号機プール、サンプリングの結果は前日の3倍弱の数値を示すも、日報の表記は「有意な変動なし」

9月10日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

操作卓が落下した3号機プール水の分析結果とプラントパラメータ ~9月9日分 セシウム2核種・コバルト60とも前日に比べて3倍弱の急上昇。それでも表記は「有意な変動なし」。また、オペフロ線量計不具合のため代替サーベイを実施

なお、使用済燃料プール水の放射能分析結果が前回と比較して有意な変動がないことと、プラントパラメータに有意な変動がないことから、燃料破損等の兆候は確認されていない。

使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:9月9日)
・セシウム134:2.9×10^2 Bq/cm3
・セシウム137:8.9×10^2 Bq/cm3
・コバルト 60:2.1×10^0 Bq/cm3

プラントパラメータ(9月9日午後4時現在)
・モニタリングポスト       :有意な変化なし
・原子炉建屋オペフロ雰囲気線量  :有意な変化なし*
・使用済燃料プール水位      :有意な変化なし
・スキマーサージタンク水位    :有意な変化なし

*9月9日午後0時、線量計不具合のため代替サーベイを実施

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月10日

リットル当たりの線量に換算

・セシウム134:290,000 Bq/L
・セシウム137:890,000 Bq/L
・コバルト 60:2,100 Bq/L

3項目とも前日に比べて3倍弱の急上昇。それでも表記は「有意な変動なし」。

Dエリア内D5タンクの止め弁から水漏れの続報

前日公表された報道関係一斉メールや報道配布資料の内容を追記

その後、当該閉止フランジからD5タンク堰内に滴下した量を評価した結果、D4タンクとD5タンクの連絡弁を開けてD5タンクに通水を開始した時間から、滴下発見後に当該止め弁を増し締めするまでの時間より算出(滴下は3滴/秒として計算)して、約0.7Lと推定。実際は、水が当該止め弁の高さ位置まで到達する時間を考慮すると、滴下した量は推定量約0.7Lよりも少ないと判断している。

滴下箇所から採取した水の分析結果
・セシウム134:1.7×10^3 Bq/L
・セシウム137:4.2×10^3 Bq/L
・全ベータ :4.5×10^7 Bq/L

堰内溜まり水(滴下箇所近傍)の分析結果
・セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:3.1×10^1Bq/L)
・セシウム137:1.1×10^2Bq/L
・全ベータ :1.2×10^6Bq/L

原因については、D5タンクへの通水前に当該止め弁の閉止状態を目視にて確認したものの、完全に閉まっていなかったことにより当該止め弁の閉止フランジ側に水が流入したためであることが判明。なお、滴下した当該タンク堰内床面については洗浄済。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月10日

1号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水移送を再開

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

加えて、

・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送中(平成26年9月10日午前9時33分~)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月10日

※滞留水移送は運転中

2号機~6号機

新規事項なし

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年9月3日午前10時47分~)

※滞留水移送は運転中(凍結止水工事が続くトレンチとの接続部分の水位変動を抑えるため、遠方施設への移送か)

◆3号機
1号機と同じ4項目

※滞留水移送は停止中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス 〜通算20回目の海洋排出時の海水のサンプリング結果

同日、この際の南放水口付近の海水についてサンプリングを実施し、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

注:同日とは9月8日

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月10日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

9月9日のパトロールにおいて、タンク間の連絡弁からの滴下の影響で堰内入域を制限したG4南タンクエリアを除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月10日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月10日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月10日

1~4号機タービン建屋東側

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月10日

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月10日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年9月10日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太