地下水バイパス揚水井No.12の汲み上げを再開。汲み上げ停止中にはトリチウム濃度が下がる傾向。再開後はどうなるか?
8月22日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
2号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水、移送停止
1号機と同じ4項目に加え、タービン建屋地下に溜まった高濃度滞留水の3号機側への移送を停止。止水がうまくいかないトレンチでの作業と関連か。
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年8月15日午前10時~8月21日午後7時13分)
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年8月19日午後4時18分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス ~高いトリチウム濃度を検出してきた地下水バイパス揚水井No.12からの汲み上げを再開。タンク側では問題なし
地下水バイパス揚水井No.12のトリチウム濃度が運用目標値を超えていることから汲み上げを停止していたが、一時貯留タンク側の評価を行った結果、汲み上げに問題がないため、8月22日午前10時に汲み上げを再開。
再開後の現場は異常なし。なお、今後も地下水バイパス揚水井No.12については、トリチウム分析結果傾向の監視強化を継続し、一時貯留タンクへの影響がないことを確認する。
「再開後の現場は異常なし」との言い回しは初めて目にしたように思う。
汲み上げを停止すると濃度が下がる傾向。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
8月21日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
8月20日に初めて採取したH4エリアの地下水観測孔E-13,14の測定結果は以下のとおり。
<E-13,14の全ベータ測定結果:8月20日採取分>
・E-13:検出限界値未満(検出限界値:15 Bq/L、お知らせ済み)
・E-14:40 Bq/L(お知らせ済み)
(ここまで既出)
<E-13,14のトリチウム測定結果:8月20日採取分>
・E-13:530 Bq/L
・E-14:610 Bq/L
その他については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年8月22日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太