東京で株主総会が開催される中、タンクグループ1から、7回目となる地下水バイパスの海洋排出を実施。その他には「福島第一原子力発電所の状況」に新規事項はほとんどなし
6月26日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
一時貯留タンク(Gr1)から1,829トンを海洋に排水
※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の当社および第三者機関による分析結果[採取日6月15日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認したことから、(ここまで既報)
平成26年6月26日午前10時10分、海洋への排水を開始。
6月25日に公表されたグループ1タンクの分析結果「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク分析結果」には以下のように示されている。
7回目となる地下水バイパスの海洋排出は、午前10時10分から午後5時36分まで行われ、1,829トンを排出した。
ちなみに同日、東京では午前10時から午後1時21分まで、東京電力の株主総会が開催されていた。報道によると、原発の再稼働を前提としない経営再建など株主提案はすべて否決されたという。
東京電力(9501)は26日、都内で株主総会を開き、社外取締役への増田寛也元総務相の起用など取締役11人を選任する会社提案は原案通り可決した。一方、株主から提案のあった原発を再稼働しないことを前提に総合特別事業計画(再建計画)を見直すことなど10件の議案は全て否決した。昨年に株主提案した東京都からの提案や質問はなかった。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中。(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス揚水井
新規事項なし
※地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成26年6月25日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年6月26日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
漏洩を起こした後、パトロール強化やサンプリング検査が行われているタンクエリアの位置関係をGoogleMapのキャプチャ画面でチェック。