みんなの絆 天まで届け!~東松島の青い鯉のぼりプロジェクト

このゴールデンウィークに東日本に旅行に行くことが決まり、復興支援切込み隊長のRYOTA隊長におすすめのところを聞きました。
「東松島の青い鯉のぼりを見に行くといいよ。」
東松島?はてそれは石巻から遠いのだろうか?地理にはすっかり疎い私。
被災地で鯉のぼりをあげているっていうのは聞いたことあるけど
それがあの『青い鯉のぼりプロジェクト』とは気がつかず。
かなり手前の空に私の目に飛び込んだのは夕陽にむかって泳いでいる数百匹もの何か???の光景でした。

夕陽に向かって泳ぐ鯉のぼりは神秘的でした

 夕焼けの空に輝く500もの鯉のぼり。
浜からの風が強いからでしょうか。
鯉のぼりは元気に勢いよくまるで天に上るかのように天に向かって泳いでます。
この青い鯉のぼりを見に来ていたとある家族の子供たちは大はしゃぎで鯉のぼりに触ろうと蛙のように飛び跳ねています。
『がんばろう!石巻』の看板よこの鯉のぼりも子供たちがはしゃいで鯉のぼりを捕まえようとピョンピョン。

 ここにいるちびっこが鯉のぼりを触れる頃にはもっと復興も進んでいますように。

大小新旧さまざまな鯉のぼり

 このプロジェクトが始まった当初はまだここに被災した家が建っていたようですが今はもう見る影もありません。
乾いてボロボロと崩れていく泥の荒野には陶器の破片らしきものが…かつて住宅地だった名残が見えました。
 この東松島地区にもガレ花が咲いていたそうですが今はもう見つかりません。
ガレ花というのは福島県いわき市久之浜では被災して撤去予定の家屋に花を描く「ガレキに花を咲かせましょう」の運動です。

 この『青い鯉のぼりプロジェクト』は、伊藤さんという方が東日本大震災の津波で当時5歳の弟の律くんも家も一瞬にして失いました。
被災した自宅から出てきたのは亡くなった弟の律くんが大好きだった青い鯉のぼり。
天国でも寂しい思いをしないようにその青い鯉のぼりを震災直後に掲げたことがきっかけになったそうです。
 その後、全国から青いこいのぼりが送られ3回目となる今年は最終的には総数626匹の鯉のぼりがこの東松島の大曲地区に集結しました。まさに圧巻!!です。
5月5日には鎮魂のための演奏とドーナツや焼き団子、豚汁などの炊き出しがあり、かなりの賑わいを見せたようです。

向かい風に真っ向挑んでいるかのようにも見えます

 伊藤さんは「震災の記憶を風化させず、忘れずに、その経験を踏まえた上で前に進むことが重要。青い鯉のぼりプロジェクトが大曲浜のシンボルになるように今後も続けます。見に来て頂いた方が何かを感じて、明日への活力になって下されば」と語っていたようです。

 天国の子供たちはこの鯉のぼりを見てものすごく喜んでいるはずです。
地上から見ている子供や私たちがこんなにも喜んでいるのですから。

 ところで現地を訪れたのが夕方だったせいか強風が吹いていたため鯉のぼりは勢いよく泳いでまさに勇壮でした。
強風に堂々と向かっていく鯉のぼりの姿は『向かい風なんかには負けねえぞ!』と着実に前に進んでいる被災地の皆様の姿にも被ってとてもたくましくみえました。

 人々の絆や祈り、そして前向きに進む心など様々な思いを載せてまた来年も青い鯉のぼりは春の空を泳ぐことでしょう。