「アクアマリンふくしま(※愛称)」は、福島県いわき市小名浜にある水族館です。正式名称は「ふくしま海洋科学館」で平成12年7月15日にオープンしました。
同館がある福島県の沖合では、親潮と黒潮の2つの海流がぶつかっていることから、「潮目」が水族館のテーマとなっています。館内には、潮目の海を再現したトンネル型の大水槽や、「ふくしまの川と沿岸」、「サンゴ礁の海」などの常設展示を行っているほか、蛇の目ビーチと呼ばれる世界最大級のタッチプールなどもあります。
同水族館は、世界最大の旅行口コミサイトとして有名な「トリップアドバイザー」が発表した「行ってよかった動物園&水族館ランキング2013」の水族館部門において、沖縄県の「沖縄美ら海水族館」に次ぐ、全国2位という高い評価を得ています。
東日本大震災からの再開
アクアマリンふくしまは、東日本大震災の際に、大きな被害を受けています。建物自体の損傷は少なかったものの、電力の喪失などにより、多くの魚が死んでしまいました。下記は、アクアマリンふくしまの被害状況を伝える、2011年3月30日付の朝日新聞の記事です。
東日本大震災の発生後、シーラカンスの生態調査で知られる福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」で750種、約20万匹の魚が死んだ。停電で水槽の水の循環や温度の維持ができなくなったためだ。一部の貴重な生物は飼育係が避難所に運び出した。
地震のあった11日は、約200人の入館者とスタッフら50人が館内にいた。全員が3階へ避難。1階は水没したものの、けが人はなかった。
ただ、電気とガス、水道が止まった。自家発電では全館の飼育環境を完全に保つには足りなかった。まず、ユーラシアカワウソやトド、ゴマフアザラシなどの動物、カブトガニやオオサンショウウオなどの珍しい生物を県外の水族館に移すことにした。
(中略)
震災7日目の17日。自家発電機を回していた重油もなくなった。震災後、極度の食料やガソリンの不足に見舞われていたいわき市。「重油は病院などの施設でも使われている。こちらに回せ、とは言えなかった」。アクアマリンの担当者はそう話した。
電気不足でそれぞれの魚が生きるのに適した水温を維持できず、水中への酸素の供給もできない状態になった。数人の飼育係が毎日通って様子を見に来たが、次々と魚が死んでいった。水質を守るため、飼育係たちは死んだ魚を1匹ずつすくって水槽から出した。涙を流しながら作業する飼育係もいたという。
同館では魚が育つ環境づくりのため、10年かけて生息に必要なマングローブなどの植物類も水槽内で育ててきた。いま、飼育係らは植物類は残そうと、何度もバケツで水を運んで世話している。
約20万匹のという魚は、アクアマリンふくしまで飼育されていた魚のおよそ9割にあたるそうです。アクアマリンふくしまの電力喪失の記事を目にしたときには、これほどの被害を受けた同水族館が、「はたして再開できるのだろうか」、「このまま閉館してしまうのではないだろうか」と、正直、危惧もしていたのですが、震災があった年の7月15日、県外にある他の水族館動物園や各地の漁師さん、ボランティア、建設会社などの協力もあって、再オープンをしています。
震災前、年間約90万人(多い年は115万人)いた入館者は、震災の年に3分の1まで減りましたが、その後、6~7割ほどまで、回復してきたそうです。
アクアマリンふくしまの常設展示について
いくつもの常設展示が行われているアクアマリンふくしま。いろいろ調べてみると、そのなかでも、次の2つが特に注目されているようです。
○「潮目の海」
「アクアマリンふくしま」のハイライトと言われています。
同館のテーマである「潮目」を作りだす、暖流の黒潮と寒流の親潮の2つの
海を再現している大水槽です。水槽は、厚さ35cmのアクリル板を合わせて
作った三角形のトンネルをはさんで、それぞれ親潮の海と黒潮の海となって
おり、2つの水槽をあわせた水量は2,050トンもあるそうです。
ちなみに、標準的な小学校のプール(長さ25m、6コース)の水量は、およそ
300~400トン位です。
それぞれの水槽の主な生物は次の通りです。
・黒潮の水槽:カツオ・キハダ・マイワシ・グルクマ・ギンカガミ
・親潮の水槽:クロソイ・エゾメバル・オオカミウオ・サケ・アメマス・
マツカワ・ホカケアナハゼ・マボヤ
黒潮の水槽では、カツオとイワシという、本来ならば、食べる側と食べられる側
の魚を、同じ水槽にあえて入れることにより、身を守るために群れを作って泳ぐ、
イワシの姿をみることができるそうです。
○「蛇の目ビーチ」
「アクアマリンふくしま」にある、世界最大級のタッチプールです。
タッチプールとは、実際の生き物を手に取って触ることができるプールのことで
、アクアマリンふくしまのタッチプールでは、ヒトデやナマコなどを触ることが
できるそうです。その広さは世界最大級と言われ、4,500平方メートルもあります。
これは、標準的な小学校のプール(25m×13m)で約14個分の広さになります。
そのほか、個人的に気になるのが「シーラカンスの世界」です。アクアマリンふくしまは、世界で初めて、シーラカンスの稚魚の撮影に成功するなど、開館当初からシーラカンスの調査を行ってきており、調査実績には定評があります。「シーラカンスの世界」では、アフリカのコモロ諸島で捕獲されたシーラカンスの標本や、シーラカンスの稚魚の映像なども見ることができるそうです。
最近では、クウェート国からの支援によりつくられた「クウェート・ふくしま友好記念日本庭園」が、今年2月22日にオープンしています。
「アクアマリンふくしま」の詳細情報
■アクアマリンふくしま
【場所】福島県いわき市小名浜字辰巳町50
【定休日】無休
【時間】通常期(3月21日 ~11月30日):9:00~17:30
冬 期(12月1日 ~ 3月20日) :9:00~17:00
※最終入館時刻は閉館1時間前まで。
※下記期間は開館時間が19時に延長されます。
5月3日~6日、7月19日~8月の土日祝日(ただし8月2日を除く)、
8月13日~17日、12月23日~24日
※8月2日(いわき花火大会)は、開館時間が21時に延長されます。
【通行料】一般:1,600円、小~高校生:800円
【問い合わせ】0246-73-2525
【アクセス】車:常磐自動車道いわき湯本I.Cから約20分
電車、バス:JR常磐線泉駅(特急停車駅)から路線バス
(小名浜・江名方面)で最寄りのバス停「支所入口」まで約15分。
下車後徒歩約10分
【駐車場】あり(589台)
平成26年4月19日(土)~平成26年6月29日(日)の期間限定で、企画展「化石水族館 太古の魚類展」が開催されています。「化石水族館 太古の魚類展」では、大昔の絶滅した魚たちを、いきいきとした姿で泳ぐイラストと本物の化石で見ることができます。
アクアマリンふくしま
「いわき・ら・ら・ミュウ」が近くに!
「アクアマリンふくしま」から歩いて5分程のところに、「いわき・ら・ら・ミュウ」があります。いわき・ら・ら・ミュウは、観光物産センターで、館内にはレストラン、海産物の販売、お土産売り場などのほか、いわきを紹介した「ライブいわきミュウじあむ」、子供(生後6か月~12歳まで)と一緒に遊ぶことができる「わんぱくひろば・みゅう・みゅう」などの施設も入っています。
水族館を見た後、お土産物を買ったり、食事をしたい方には、おすすめの施設です。
いわき・ら・ら・ミュウ
参考WEBサイト
紹介:sKenji