壊れた炉心への注水量が約2.2m3/hから約2.5m3/hに変更。理由の説明がないのが不安を煽る
4月26日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、炉心への注水量を変更したことを記載
※平成26年4月26日午前9時31分、原子炉への注水量の変動が確認されたため、給水系からの注水量を約2.2m3/hから約2.5m3/hに調整(炉心スプレイ系からの注水量は約2.0m3/hで継続中)。
2号機
1号機と同じ4項目に加え、炉心への注水量を変更したことを記載
※平成26年4月26日午前9時26分、原子炉への注水量の変動が確認されたため、給水系からの注水量を約1.8m3/hから約2.0m3/hに調整(炉心スプレイ系からの注水量は約2.5m3/hで継続中)。
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系については、使用済燃料プール内の燃料交換機本体撤去作業に伴い、4月23日~6月上旬の間、原則毎週月曜日午前7時~土曜日午後4時の間停止予定(毎週土曜日午後4時~月曜日午前7時の間は運転予定)
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月24日午前10時34分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
加えて、4号機燃料プールからの移送にともない発生する汚染水について、満水レベルに達したため実施した集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)への移送終了を報告
・4号機使用済燃料プールから共用プールへの燃料移動作業において発生する構内用輸送容器(キャスク)内包水(4号機使用済燃料プール水)および構内用輸送容器(キャスク)内洗浄水については、沈降分離処理し、共用プール低電導度廃液受タンクで貯水しているが、そのタンクが満水レベルに達したことから、平成26年4月25日午後1時26分から(ここまで既出)
午後4時15分にかけて、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)への移送を実施。
なお、本移送は今後も適宜実施していく。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果
タービン建屋から移送された高濃度滞留水を、誤って焼却建屋に移送した件で、常時監視と焼却工作建屋西側のサブドレン水の分析結果を報告。
<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについては、常設水位計による監視において、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、焼却建屋では0.5cmの上昇。工作建屋では水位に変化はなかった。引き続き監視を継続。
4月26日午前6時現在の各建屋深さ
・焼却建屋:深さ18.1cm(4月14日移送停止後と比較し、0.5cm増)
・工作建屋:深さ5.0cm(4月14日移送停止後と比較し、変化なし)
最新のサブドレン水サンプリング実績には新規事項なし
記載内容:前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
4月25日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
<最新のサンプリング実績>
4月25日に初めて採取した1~4号機タービン建屋東側の地下水観測孔No.3-3の測定結果は以下のとおり。
<地下水観測孔No.3-3の測定結果:4月25日採取分>
・全ベータ :3,500 Bq/L
なお、濁度が高く、ガンマ核種については測定できていないことから、全ベータ放射能濃度についても参考値とする。
その他については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井の状況
1~4号機建屋に隣接した井戸(サブドレンピット)内の溜まり水から放射性物質が検出されたのを受けて、流入経路を確認するための観測井戸を設置し確認を行っている。
新規事項なし
地下貯水槽の状況
サンプリング結果について記載
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月26日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」の一覧ページ。過去の「日報」との比較に役立ちます。