2月3日月曜日、午後3時時点の「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」について、新規事項をチェックします。
1号機(平成24年4月19日廃止)
昨日からの変化なし。
・メルトダウンしたと思われる燃料デブリを冷却するため注水を続けている。
・水素爆発を防ぐために窒素を封入し続けている。(破損している格納容器に対して)
・ガス管理システムを運転し続けている。
・使用済み燃料プールの循環冷却も続けている。
といった内容の記載。
2号機(平成24年4月19日廃止)
1号機同様の4項目に加え、
アンダーライン表示として、
「2号機タービン建屋→3号機タービン建屋へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年1月26日午前9時33分~平成26年2月3日午前9時27分)」
※前日からの新規事項は、「~平成26年2月3日午前9時27分)」の部分。この時刻で移送を止めたと理解できる。2号機タービン建屋から3号機タービン建屋へ、さらにそこから集中廃棄物処理施設へという高濃度汚染水の移送は、一時停止されている。
3号機(平成24年4月19日廃止)
1号機同様の4項目に加え、「3号機タービン建屋→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年1月24日午後2時37分~)」
アンダーライン(新規事項)なし。
※3号機タービン建屋から集中廃棄物処理施設への高濃度滞留水移送は継続中ということか。集中廃棄物処理施設は4号機の南側にある施設で、最も大きな集合排気塔の下にある。東京ドームの9割ほどの延べ床面積のあり、高濃度汚染水を貯める施設として事故直後から汚染水の移送が続けられている。
4号機(平成24年4月19日廃止)
「原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)」「使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中」「使用済燃料プール循環冷却系運転中」
アンダーライン(新規事項)なし。
5号機(平成26年1月31日廃止)
処置の内容に変更なし。
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
6号機(平成26年1月31日廃止)
処置の内容に変更なし。
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
処置の内容に変更なし。
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
水処理設備および貯蔵設備の状況
処置の内容に変更なし。
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
H4エリアタンクおよび周辺排水路の状況
2013年8月19日に「発見」されたH4エリアのタンクからの水漏れ(ストロンチウム90など、β線を出す放射性物質を1リットル当たり8000万ベクレル含む高濃度の汚染水が約300トン漏えい)を受けて、同様の構造を持つタンクの監視の一環として、パトロール結果をアンダーライン付きで更新している。
<最新のパトロール結果>
平成26年2月2日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β+γ線(70μm線量当量率))は確認されていない。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
漏えいしたH4エリアIグループNo.5タンク周辺や、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリング結果についてアンダーライン入りで更新。
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
山側から管理施設、原子炉建屋、タービン建屋、港湾施設とほぼ並行している原発施設の中でタービン建屋の海側のエリアについて。本日付の新規事項はないが、記載されている処置の内容は以下の通り。
1~4号機タービン建屋東側に観測孔を設置し地下水を採取、分析しており、平成25年6月19日、1,2号機間の観測孔において、トリチウムおよびストロンチウムが高い値で検出されたことを公表し監視強化するとともに、1,2号機タービン建屋東側に設置したウェルポイントおよび集水ピット(南)から地下水をくみ上げ中。
平成25年11月27日に採取した2,3号機取水口間ウェルポイント北側における分析結果で全ベータが高い値で検出されたことから、計画的に2,3号機東側に設置したウェルポイントから地下水のくみ上げを実施。
1,2号機間の観測孔から採った水を分析したところ、トリチウムやストロンチウムが高い値で検出されたので6月19日に「公表し」、放射線濃度の高い地下水をウェルポイント(小型の井戸。深さ3メートルほど)と、集水ピット(地下水槽という意味か)で汲み上げている。
11月27日に採取したサンプルでは、2,3号機取水口間ウェルポイント北側で全ベータが高かったので、2,3号機東側に設置したウェルポイントでも「計画的に」汲み上げを行っている。
地下貯水槽の状況
「4月5日以降お知らせ」のあった、露天掘りした上で蓋を設置する地下水槽の水漏れ事故。台風によってタンクの堰の水があふれるのを防ぐため、臨時に堰の水を移送されたこともあった。その地下水槽の状況について現在も継続して日報に記載されている。
※平成25年7月1日に地下貯水槽の汚染水は全て移送を終了しているが、拡散防止対策およびサンプリング(地下貯水槽No.1~7のドレン孔水、地下貯水槽No.1~4,6,7の漏えい検知孔水、地下貯水槽観測孔、地下水バイパス調査孔、地下水バイパス揚水井No.1~4、海側観測孔)は継続実施中。
※地下貯水槽No.1~3における貯水槽内部の残水について、H1東エリアタンクへの移送を実施中。
<拡散防止対策>
地下貯水槽No.1~3の漏えい検知孔内に漏えいした水を仮設地上タンクへ、地下貯水槽No.1、No.2のドレン孔内に漏えいした水を当該地下貯水槽内へ移送する処置を適宜実施中。
7月にいったん移送した後、台風の時に堰の水を入れたことについては記載されていない。移送を終了して水はないはずなのに、サンプリングを実施中。そして、アンダーライン入りの新規事項として「変動はかくにんされていない」と記載されている。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
地下貯水槽については、これまでの経緯をよく調べてみる必要がありそうだ。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年2月3日分の変更箇所についてピックアップしました。
構成●井上良太
「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」の一覧ページ。過去の「日報」との比較に使えます。