マンモス防潮堤の続報 ~首相夫人があげた声~

これからが大切。

タスマニアのオオツカさんからメールが届いた。マンモス防潮堤の未来に関わる重要な知らせだ。(一斉送信メールだけど)

皆様、素晴らしいニュースです! 本日、自民党政府は巨大防潮堤計画の見直しを検討する意向を表明しました! 二年間地元で運動を重ねてきたみなさんと、この署名運動をご支援くださった皆様のおかげです! 本当に、心から、感謝いたします!

引用元:Change.orgから「もう 「逃げおくれ」を出さないで! 防潮堤より高台移転! STOP GIANT SEAWALLS! 」についてのお知らせ

一瞬わが目を疑った。建設利権がからむ案件がそう簡単に見直されるわけがない。しかし、オーストラリアからの知らせは本当だったようだ。ほぼ1日遅れで、日本でもメディアが「見直し検討」を伝え始めた。

しかし、これで問題が解決したわけではない。自民党が表明したのは見直しの検討で、決定ではない。与党が大きな力を持っているとはいえ、政府の意思表示ではない。さらに、防潮堤の再考は国だけではなく、県にも訴えなければならない。そして一番たいせつな肝心かなめの急所のキモは「地域の人たちだけでなく、域外の人たちが関心を持つこと」。オオツカさんのメールはこう続く。

次に説得が必要なのは県です。これからも、課題はまだまだたくさんあります。国と県の双方で計画の抜本的な改革がなされるためにも、みなさまの更なるご支援、シェア、ご拡散、どうぞよろしくお願いいたします!

引用元:Change.orgから「もう 「逃げおくれ」を出さないで! 防潮堤より高台移転! STOP GIANT SEAWALLS! 」についてのお知らせ

オオツカさんが「まだまだたくさん」とおっしゃる課題は、まさに上に書いたようなことだ。行政への働きかけと、地域のサポート、そして防災に向けてのみんなの関心。

防潮堤をきっかけに、みんなで防災を考えましょう! さあ、こちらから。

自民党、防潮堤見直しへ(メディアの報道から)

自民党が防潮堤計画の見直し検討に入ったのは、安倍首相夫人・昭恵さんの働きかけが大きかったようだ。

 安倍晋三首相夫人の昭恵さんは4日、自民党環境部会のシンポジウムに招かれ、東日本大震災の被災地での防潮堤建設を見直すべきだとの考えを示した。「反対運動をするつもりはないが、巨額の税金を使う以上、必要がない所はやめればいい」と述べた。首相夫人が党部会に出席するのは極めて異例。

引用元:昭恵夫人「防潮堤建設見直して」 自民部会で - 47NEWS(よんななニュース)

テレビ朝日のウェブニュース「巨大防潮堤計画見直し検討 あす震災から1000日」では、首相夫人については触れていないものの、「避難道路の整備などを軸に防潮堤の建設計画を見直す方向」、「原則2015年度末までという期限に縛られず復興予算を使うための基金創設も検討」など、より踏み込んだ内容が伝えられた。

しかし、何と言ってもニュースの主役は首相夫人で、朝日新聞、共同通信が写真入りで伝えたほか、共同通信から配信を受けたスポーツ紙やポータルサイト、ニコニコニュースなど幅広いメディアを介してリリースされた。

安倍昭恵さんは「マンモス防潮堤が攻めてきた!!」のホームページにも登場し、インタビューで次のように述べている。

本当に必要とされているか分からない巨大な防潮堤建設計画が進められており、そこには様々な問題がある事が分かってきました。私は今まで何をやっていたんだろうと自責の念にかられました。

引用元:総理夫人から見た防潮堤

東北で起きていることに対して「自責の念」にかられる――。その思いが、今回の異例の党部会での発言につながったのだと納得できる。

安倍さんは同じインタビューの中で、もうひとつきわめて重要なことを語っている。

自分たちが声を上げればきちんと届くんだ、諦めなければ変えられるんだという事をまずは被災地から示し、そしてそれをキッカケに全国が変わっていくような流れを作りたい。

本当におかしいなと思ったら、皆がおかしいと声をあげられるような国にしたい。それが、健全で良い国だと思います。

引用元:総理夫人から見た防潮堤 | マンモス防潮堤が攻めてきた!!

タスマニアのオオツカさんも、首相夫人も、そして僕たちも。信じたい。声をあげることから始まるのだと。被災地も、霞が関も沖縄も、日本中で。

●TEXT:井上良太