東北の名産品って何があるのだろうと思い、ネットで「東北 名産品」で検索してみました。すると、美味しそうな名産品が次から次へとでてきます。
その中で一番気になったものが、高級食材として有名なフカヒレです。自分には、縁遠い食べ物で普段は口にする機会がないだけに余計に気になってしまい、調べてみました。
フカヒレっていったい何?
フカヒレとはどのような食材か。
辞書で調べてみると、フカとは西日本でのサメの呼び方と書いてありました。ご存知の方も多いかと思いますが、サメのヒレを乾燥させた食材です。
ただ、以前から疑問に思っていたことが一つあります。それは、ひとくちにサメと言っても、魚類最大のジンベエザメから、ホオジロザメ、シュモクザメ、コバンザメなど数多くのサメがいます。いったい、どのサメのどこのヒレがフカヒレになるのでしょうか。
調べてみると、フカヒレとなる特定のサメの種類があるわけではないようです。
サメの水揚げ量日本一は、宮城県の気仙沼ですが、その気仙沼で水揚げされるサメの約80%がヨシキリザメで、約15%はネズミザメ(モウカザメ)というサメであり、フカヒレもヨシキリザメから作られるものが多いそうです。
気仙沼のサメの水揚げ量は国内90%を占めており、フカヒレの生産量も日本で一番だそうです。この2種類のサメ以外にも、シュモクザメ、アオザメなど数多くのサメのヒレがフカヒレとなるようです。その中でも、ジンベエザメは最高級品とされているそうです。
多くのダイバーが憧れるジンベエザメのヒレが最高級のフカヒレになるとは驚きました。
ヒレの部位についてですが、尾ビレ、背ビレ、胸ビレ、腹ビレなど全てのヒレがフカヒレとなるそうです。フカヒレの姿煮などで使用されるヒレの形状が残った状態の排翅(パイツー)と呼ばれるフカヒレには、主に背ビレや尾ビレが使われ、フカヒレスープなどに使われるバラバラにほぐした散翅(サンツー)と呼ばれるフカヒレは、主に胸ビレ、腹ビレが使用されるそうです。
フカヒレの歴史
フカヒレは、中華料理の三大珍味と言われていますが、歴史としては、400年ほど明の時代に中国の文献に初めてフカヒレについて記載されており、一般的になったのは19世紀、清の時代だそうです。
日本では江戸時代に、乾燥させたナマコ、アワビと一緒に俵づめにされ、「俵物三品」と呼ばれて中国へ輸出されていたそうです。重要な輸出品のひとつだったそうで、金、銀、銅の代わりに決済に使用できるほど価値が高かったらしいです。
フカヒレの生産地、気仙沼
フカヒレの生産量日本一の気仙沼は、量だけではなく、品質も世界トップクラスのようです。本場中国でも高級料理店で使用されているものは、気仙沼産がほとんどで、最高級ブランドとして認知されているそうです。
気仙沼産フカヒレの品質の高さの理由は、加工レベルの高さにあるらしいです。三陸沖という漁場が近いため、鮮度が失われる前に加工できる上、気仙沼の冬は、晴天率が高く、冷たく乾燥した季節風が吹くために、良質のフカヒレができるということです。
気仙沼を襲った津波
最高級のフカヒレを生産する気仙沼ですが、東日本大震災の影響は甚大だったようです。
気仙沼市が公表している被害状況によると、平成25年6月20日現在
■死者数: 1,041人
■行方不明者数: 239人
■震災関連死認定件数(平成25年6月6日時点):105人
■住宅被災棟数: 15,764棟(平成25年5月31日現在)
■被災世帯数: 9,500世帯(平成23年4月27日現在・推計)
とのことです。震災前年の平成22年10月1日に実施された国勢調査では、気仙沼市の人口は73,489人、世帯数は25,457世帯だったそうです。
震災当時、私はテレビで被災地の被害状況を見ていたのですが、流失した油に火がつき、広範囲に火災が広がっていた気仙沼を上空から撮影した映像は今でも忘れることができません。
気仙沼市内のフカヒレ業者も壊滅的な被害を受けたらしいです。震災の前年に1万1576トンだったフカヒレ生産量は、震災があった翌年は、前年のおよそ1割まで落ち込んだらしいです。
フカヒレ加工業者の中には、一時は再起を諦めようと考えた会社もあったようですが、現在は、地元のフカヒレ加工会社6社で「気仙沼ふかひれブランドを守る会」を結成し、再びフカヒレを生産しているようです。
フカヒレの栄養成分、効能
フカヒレには、コラーゲンやコンドロイチンが多く含まれているそうです。
コラーゲンは骨粗しょう症や関節炎を予防する効果のほか、眼精疲労、老人性白内障の予防にもなり、コンドロイチンは、老化防止、腰痛等に効果があるそうです。
その他にも、様々な効能があるらしく、気仙沼市のWebサイト「フカヒレ物語」では、下記の効能が書いてありました。
フカヒレは他の食品に比べ非常に多くのムコ多糖が含まれるコラーゲン類似物質から成っています。
ムコ多糖とは、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの総称であり、特にコンドロイチン硫酸は、優れた保水性や免疫増強、関節に多く存在する軟骨の主成分になるなど様々な薬効があり、永く中国でも、「不老不死の効あり」と珍重されてきました。唐の宮廷で栄華を極めた、楊貴妃の美貌にもフカヒレが一役かっていたかもしれません。
気仙沼のフカヒレ
日本一のフカヒレ生産量を誇る気仙沼では、フカヒレ料理を取り扱うお店も多く、フカヒレの姿煮やスープといった定番のフカヒレ料理の他にもフカヒレ寿司や、フカヒレラーメン、フカヒレ丼を食べることができるそうです。
フカヒレ寿司、フカヒレラーメン・・・。
どのような味がするか、食べてみたいと思いませんか?
また、フカヒレ以外でも日本一のサメの水揚げ量を誇る気仙沼らしく、フカバーガーなど、サメ肉を食べることができるお店やサメ皮製品も購入することができるそうです。
食通には、地元でしか食べることができないと言われている「モウカの星」と呼ばれるモウカザメの心臓の珍味も良さそうです。
本場中国でも最高級品として、ブランド化している気仙沼のフカヒレ。
せっかく日本で生産されているのですから、一度気仙沼にフカヒレ料理を食べに行ってみたいですね。
※今回の記事を書くにあたり、参考資料として気仙沼市のWebサイトを利用させていただきました。フカヒレについて、わかりやすく丁寧に書いてあるサイトです。
気仙沼市
Text & Photo:sKenji