福島県双葉郡富岡町から海岸沿いに車で南下して、楢葉町、いわき市久之浜・薄磯・豊間を写真取材する。
広大な草地の所々に壊れた車が放置されたままの光景と家の基礎だけが無残に残る被災地。
海岸線の開けた土地という、通常なら人が住んでいるはずの立地にも関わらず、家屋の基礎だけが残るガランとした光景は普通ではなかった。
ここで暮らしていた方々は、震災前にこの場所でどのような日々を送り、今、どこでどのような生活を送っているのだろうか。
車で移動しながら被災地を写真取材をしている間、ずっと考えていた。
富岡から楢葉町へ
富岡町から国道6号線を南下する。
途中で見た景色からは、生活感が全く感じられず、自分の目には、異常な光景に映ってしまった。
人が住んでいる気配がないように思える中、所々で除染作業をしている作業員の方々と、除染作業で取り除いた土を詰めた、道路脇の袋だけが、人の活動を感じさせるものだった。
楢葉町のJR竜田駅に行ってみる。
ここも生活の気配を感じることはできなかった。いるのは除染作業や工事関係者の方とパトロールをしている警察の方くらい。駅前には、震災当時のままであろうと思われる自転車が横倒しになったままだった。
竜田駅での取材の後、JR木戸駅の東側エリアへ移動する。
途中、汚染土壌が詰められた黒い大きな袋が空地に並べられていた。震災以降、運休されている線路には雑草が生い茂っていた。雑草の成長力について頭では理解していても、時間の経過を感じてしまう。
JR木戸駅東側エリアを歩いて見て回った。
調べてみると、震災前のこの辺りは、田んぼや畑の中に家が所々に建っている、とても日本的な風景の場所だった。しかし、今は津波で流されたと思われる壊れた車と被災した家がぽつんと残るだけだった。
楢葉町
富岡町から国道6号線を南下。途中、竜田駅を経由して、木戸駅東側エリアを取材する。
Text & Photo:sKenji