入るべき温泉
●礼文島温泉 うすゆきの湯 ・・・ 町の執念で掘削された温泉は源泉かけ流し!
※各温泉の詳細、アクセス方法はこのページの最後にあります!(^^)
注目すべき魅力
日本最北の離島・礼文島は「花の浮島」として有名です。標高は490mと決して高くないのにも関わらず、本州であれば高山部でしか育たないような高山性の植物群落が多くみられます。最北の島だけに冬はとても厳しく、それでいて標高が低く雪が積もらないため、土の奥深くまで凍結し、高山性の植物しか生き残らないのだと聞きました。礼文島独特の事情が面白いですね。
簡単に言うと、礼文島は「キレイな花がたくさん見られますよ~!」という、ステキな島。短い夏はトレッキングを中心にとても賑わうのです。
そんな礼文島に、つい最近温泉ができたそうです。お隣の利尻島や稚内には温泉があるのに、礼文島には温泉がなかったので「なんでだろう?」と思っていたのですが、そこには礼文島ならではのエピソードがありました。紹介したいと思います。
■1.“利尻は掘っても礼文は掘るな”地質が異なる礼文島
お隣の利尻島には温泉があるのに礼文島にはない。それは「島の成り立ちが根本的に違う」ということにありました。
活動を追えて8,000年近く経つそうですが、利尻島は海底火山の噴火により形成された火山島です。そのため、温泉を掘ろうという発想はごく自然のことであり、1996年に掘削されました。一方の礼文島は、利尻島や本州とは異なり、火山活動とは無縁の中で形成されました。元々は大陸と地続きだったものが、新生代初期(約6500万年前)に温暖化の影響を受け、礼文島の周囲が海に沈んでしまったことで離島となったそうです。
島全体が堆積岩の礼文島は、火山島である利尻島とは根本的に地質が違うのだとか。過去にも「温泉を掘ろう!」という動きがあったと推測されますが、堅い堆積岩の地質では掘削が容易ではないうえ、利尻島のように確実に温泉が出る保証もなく、地質学者らは前向きになれなかったそうです。
“利尻は掘っても礼文は掘るな”
こんな格言もあったそうです。
■2.「温泉でも掘って島を元気に!」礼文町の悲願がかなう
そんな礼文島に、ふたたび温泉掘削の機運が高まったのは2005年のこと。
「温泉でも掘って島を元気にしましょう!」
町長選において小野徹氏(現町長)が、公約のひとつに温泉掘削を掲げたことから、礼文町に温泉を掘る取り組みが動き出しました。当選した小野町長は翌2006年にはプロジェクトチームを立ち上げ、作業を進めていきます。
理屈の上では掘削可能だったそうですが、述べたとおり、確実に温泉出る保証もないなかでの作業ですから、当然反対派もいたでしょうし、反発もあったのではないでしょうか。色々な想いが混じり合っていたのだろうと思います。
地道な作業の果て、温泉を掘り当てたのは2008年のクリスマスのこと。礼文町にとって悲願だった温泉がついに誕生したのです。
※読売新聞に掲載されていた小野町長のインタビューによると、礼文町には
2002年時点で約120億円の借金があったそうです。進む過疎化や、振るわな
い観光業など問題も山積みだったとのこと。この温泉が、どこまでの経済効果
をもたらしたのかはわかりませんが、小野町長が就任以降財政は少しずつ快方
へ向かい、2011年時点で借金は76億円まで減ったとありました。「温泉でも
掘って島を元気にしましょう!」の言葉が、少しずつ実を結び始めているよう
です。
■3.トレッキングのあとに嬉しい温泉
温泉は、町営の日帰り温泉施設【礼文島温泉 うすゆきの湯】や、島内の一部のホテルや旅館で入ることが出来ます。源泉かけ流しで楽しめる点がちょっと嬉しいところです。礼文町が予想していた量をはるかに上回る湯量だったそうで、加水する必要もなかったのだとか。
なんと言っても、礼文島は花や景色を楽しむために歩いてナンボの島!トレッキングコースは、短時間でサクッと歩けるコースから10時間近くかかるコースまで様々ですが、いずれにしても結構歩きます。歩き疲れて戻ってきたとき、この温泉の存在はきっとありがたいはず。
特に【礼文島温泉 うすゆきの湯】は、観光シーズンなら22時まで営業してくれているのも好印象です。離島の施設としては珍しいですね!
■4.島旅の締めにも
【礼文島温泉 うすゆきの湯】についてもうひとつ嬉しいのが、メイン集落の香深(かふか)にあり、港からも徒歩3分という立地。出港前の空いた時間にひとっ風呂浴びてから帰るなんてこともできますね!
露天風呂からも休憩スペースからも利尻富士が眺められます。礼文島ならではの景色を目に焼き付けつつ、疲れを癒して島を出る。旅の余韻を味わうには、これくらいがちょうど良いように思えます。
温泉情報はこちら!
【礼文島温泉 うすゆきの湯】
景 色 ★★
泉 質 ★★
浴 室 ★★★
施 設 ★★★
コスパ ★★
内 湯 あり
露 天 あり
【温泉名】:礼文島温泉 うすゆきの湯
【泉 質】:ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉
【効 能】:神経痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、打ち身、くじき、慢性消化器病など
【場 所】:礼文郡礼文町香深村字ベッシュ961-1
【ア ク セ ス】:香深港から北へ徒歩3分
【料 金】:大人(中学生以上)600円、小人(小学生)300円、幼児無料、
家族風呂1,000円
【営 業】:4~9月 12:00~22:00(受付は21:30まで)
10~3月 13:00~21:00(受付は20:30まで)
【定休日】:年中無休
【TEL】:0163-86-2345
【特 記】:シャンプーボディーソープ完備
「名湯のあるところには名島があり」
ここでは、ステキな温泉を持つ島々を紹介します!