再出発の時を待つ奇跡の一本松

2013年6月4日。修復作業が進む高田松原の一本松に行ってきました。

相変わらずゲートは閉ざされたまま。
松のまわりには作業用のやぐらが組まれたままです。
でも、やぐらの一番上の部分を良く見ると・・・。

作業している人の姿が見えました。

ニュース報道によると、枝の向きが間違っていたため、いったん取り外して、地上で修正し、元の姿に復元するのだとか。その作業がまさに行われているところなのです。

工事現場のガードマンさんの話によると、

「修正した枝の付け替えは昨日の作業で終わったよ。あとは、継ぎ目の修正とか、足場の撤去、献花台とかを設置して、今月末にはオープンの予定みたいだね。」

すでに前日に枝の部分の修正は完了していたのです!

高所作業車が停まっていたり、背後のユースホステルがどうなるのかも決まってなかったり。松の木の下には物々しい雰囲気が色濃く残ってはいるものの、希望のシンボルはオープンまでもう少し。

陸前高田駅(現在は仮設の陸前高田市役所そばのバス停がJR大船渡線BRT駅として機能)から、BRTのバスに乗って気仙沼へ向かう途中、国道45号を右折した辺り、バスの乗客のほぼ全員が左方向、海側に目を向けました。

それは、奇跡の一本松が立つ方向。

でも、目をやったのは、ほんの一瞬。

見たか見ないかのうちに目を戻す――。

希望の松を見上げたい気持ちと、人工物になってしまった松への割り切れない気持ち。
乗り合わせていた人のほとんどが同じ動きをしたことが、やるせなかったです。

●TEXT+PHOTO:井上良太(株式会社ジェーピーツーワン)