ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン!色恋トーク!枕営業!自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ!」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだホスト体験記を告白します。
家賃30万の高層マンションに住むホストは都市伝説
たまにホストのテレビ特集番組などで、歌舞伎町のカリスマホストの住まい公開!的なコーナーがありますね。高層マンションの30階に住んでいて家賃30万~40万は当たり前!みたいな紹介がありますね。でも、そんなのは歌舞伎町の超高級クラブに勤めるナンバー1くらいで都市伝説みたいな気がします。
1口にホストクラブと言っても超高級店が立ち並ぶ歌舞伎町を筆頭に、六本木、池袋、錦糸町、立川などの順に新宿近郊から離れていくほど店のランクも落ちてホストの給与も下がっていきます。新宿界隈の高級店で働くホストは業界のスーパーエリートで1部上場企業で働く銀行員みたいなイメージでした。
幹部ホストのヒロヤさんは住所不定
幹部ホストのヒロヤさんは『リレイズ』に5年務める27歳のマネージャー候補でした。17歳で高校を中退し、1流のホストを目指して九州の田舎町から東京に上京した強者です。2部営業では指名客を5人も抱えるカリスマホストでした。にも関わらず、給料日にタクヤ代表から手渡されたのはわずか2000円!
ヒロヤさんに自宅はなく、指名客であるキャバ嬢のマンションに居候してました。同棲と言えばカッコつくけど、ホストの実態はヒモです。収入がないから客の家に住んでいるわけで金さえあれば自宅があった方がいいに決まってます。
ヒロヤさんはケイさんがキャバクラに出勤する時間になるとマンションを追い出されてしまうらしく、仕事が始まるまで時間を潰すのが大変だったそうです。客も居ない深夜1時に店を開け、営業時間まで1人で待つのが彼の日課でした。
タクヤ代表いわく「ヒロヤくんは出勤日じゃない日も店にいる。たぶん彼には居場所がない・・・」と嘆いていました。指名客に貢がれた金を、別の指名客の機嫌を取るために金を使うという自転車操業を繰り返した結果、月収2000円まで落ち込んでしまったのは悲惨です。
6畳1間のアパートで3人暮らしのユウヤさん
僕と同期で店に入ったユウヤさんは6畳1間のアパートに3人で暮らしてる人でした。28歳のユウヤさんはホスト歴4年のベテランで、「ホストが自分で金を出したら終わりですよ!」が口癖でした。ホストの居候は常識で自宅を持つホストはむしろ外道という自論の持ち主でした。
ユウヤさんは最初の1ヶ月こそ週6日勤務でしたが、客が呼べないと社長に判断された瞬間に週2日にシフトを減らされました。月収17万円から6万円まで下がったと言います。ユウヤさんは別のホストクラブを掛け持ちするようになり、「この店はダメですよ!場所が悪くて客が来ない!俺が掛け持ちしてる店を紹介しましょうか?」と仕事を紹介してくれる優しい人でした。
それでも月末になると必ず金に困る人で、「イナバさん!3日後に絶対返しますから1万円貸してください!」と金の無い僕に借金をせがむ人でした。僕自身もガールズバーに通ったり、歌舞伎町のキャバクラに行って金を騙し取られたりして30万近くの借金を背負っていました。
ユウヤさんはその事実を知っていながら土下座までして借金をせがむのです。僕は仕方なくコンビニのATMに向かい、クレジットカードのキャッシングローンで1万円借りてユウヤさんに渡しました。するとユウヤさんはビックリした顔で「イナバさん!カードは駄目ですよ!カードは!」と怪訝な表情を浮かべました。
「俺もカードで散々な目に合いましたからね、イナバさんは30万でしょ?俺なんて500万以上使ってメチャクチャでしたよ。もうカードはいいや、カードは・・・駄目になったら言ってください。弁護士紹介しますから!」意味深な言葉を残してユウヤさんは去っていきました。
僕は家賃を滞納していたので死ぬほど不安になりました・・・