小豆島とひしお丼【島と○○】

 「ひしお丼」をご存知でしょうか。近ごろ、名を馳せてきた小豆島の新名物です。小豆島では、島内20か所以上のお店やホテルでその「ひしお丼」が食べられるらしく、僕も小豆島を訪れたときはひそかに注目していました。

そもそも「ひしお」ってなに?

小豆島の中でも、たくさんの醤蔵やつくだ煮屋が集う場所「醤の郷(ひしおのさと)」

 食べ物だということはわかるのですが、そもそも聞きなれない言葉があります。「ひしお」とは何なのでしょうか。調べてみるとこんなことが書いてありました。

醤(ひしお)とは

・調味料ではなく塩漬けされたどろどろしたなめもの。
・本来は食物を保存する目的で作られたもの。
・中国から始まり、日本でも弥生時代からあった。
・醤には4種類あり、材料により魚醤、肉醤、草醤、穀醤とあった。

※大豆や米、小麦を材料にした「穀醤」が味噌となり、醤油となった。

(参考:「醤の郷」公式HP「小豆島と醤油の歴史」より)

なるほど。「どろどろしたなめもの」という時点で、今の醤油とは少し違うことがわかります。ただ、「塩を用いて保存をする」という技術は大昔からあったようです。例えば、日本人にはなじみ深い、イカの塩辛やくさやなんかもこの技術から生まれた食べ物。そう考えると、人間の工夫ってすごいなと、改めて感じてしまいます。醤油もこの工夫の過程で誕生したものなんですね!

小豆島との関係

・1591年(天正19年)大坂城建設の指揮を執っていた秀吉が献上された醤油を絶賛。
・大坂城へ石材を提供していた小豆島の島民が醤油づくりを教わる。
・もともと塩の生産がさかんだった小豆島でも徐々に醤油づくりが馴染む。
・江戸末期にが高級品だった醤油が一般化。小豆島の主要産業に。

(参考:同上)

ということで、小豆島ではひしお由来の醤油がおよそ400年の歴史を持つとのこと!島内には醤蔵(ひしおぐら=醤油を製造する企業)がたくさんありますが、その背景にはこういった歴史があったのですね。 今では1リットル数百円で買えてしまう醤油も、江戸の頃は庶民が口にできる代物ではなかったという話も興味深いところです。高級品だった頃からの味を今に伝えるという意味でも、小豆島の醤油には期待してしまいます。

 たとえば写真は醤蔵のひとつ、タケサン株式会社販売店の試食コーナー。何種類あるのかわからないほど、たくさんの醤油関連商品が並んでいました。「よくもまぁ、醤油だけでここまで」と思ってしまいますが、それだけに、小豆島と醤油の縁の深さが伺えます。

“小豆島尽くし” で初めて「ひしお丼」

 さて、話を「ひしお丼」に戻します。そんな伝統ある醤でありながら、「ひしお丼」は小豆島の新名物と謳われています。登場は2009年のようです。

2009年に旅行専門誌リクルート「じゃらん」と取り組んだのが小豆島ブランド宿泊プランづくりでした。事前調査では、多くの観光客が興味をもっているキーワードが「温泉」と「食」ということでしたが、事業は「食」をテーマに小豆島らしい宿泊プランづくりをすることになりました。
(中略)
小豆島に来られるお客様のイメージは、「島と海」をイメージしていると考え、海の幸=島醤油で「たとえば醤丼(ひしおどん)」と提案しました。

(引用:「小豆島元気プロジェクト」公式HPより)

島おこしの一環ということでしょうか。こうして出来上がったひしお丼の定義がこちら。

ひしお丼の定義 
◆小豆島醤の郷(ひしおのさと)で作った醤油やもろみを使うこと。
◆小豆島の魚介、野菜や地元の素材を使うこと。
◆箸休めはオリーブか つくだ煮を使うこと。

 当然かも知れませんが、やはり全て小豆島のもので括っています。特に3つ目が面白いですね。魚を醤油に漬けるだけならどこでも出来ますが、オリーブやつくだ煮も小豆島ならではでなかなかイケてます。ここまで “小豆島尽くし” で初めて「ひしお丼」と呼べるのでしょう。 ちなみに丼として上記の定義さえ守れば、あとは自由なようです。一見すると和食なのですが、箸休めに登場するオリーブは小豆島名物ながら、元をたどれば地中海原産。このあたりをいかに食べさせるか、料理人の手腕に注目しても面白そうですね!

 島内でひしお丼を食べられる飲食店やホテルは合計20か所以上!それぞれメニューも違うようです。特に僕が「おいしそう!」と感じたものをいくつかどうぞ。(名前だけ。笑)

■ カリカリ豚ともろみのひしお丼 (二十四の瞳映画村 café シネマ倶楽部)

■ 自家製醤油のチャーシュー丼 (ヤマサン醤油麹 部屋) 
■ もろみ味噌とたっぷり野菜のひしお丼 (小豆島オリーブ園 レストランオリーブパレス)
■ ひしお丼 鯛のオリーブオイルともろみソースかけ (道の駅小豆島オリーブ公園) 
■ もろみとろろのひしお丼定食 (寒霞溪ロープウェイ食堂)

・・・とまぁ、名前だけでも「おいしそう!」に見えませんか?意外と創作系が多いのも楽しめそうですね!何度か「食べ歩きスタンプラリー」といった企画も行われているみたいです。お好みの丼が見つかるかも知れませんね。グルメ尽くしの旅を楽しんでみては!

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