無名の一級品「島野菜」
三重県・神島の集落で育っていたスイカ
ふだん口にする野菜や果物がどう育っているかなんて、都会で暮らしていれば目にすることはあまり無いかも知れません。ところが、狭い離島であれば、歩いているだけで色々と見えてくるもので、それがまた楽しかったりします。 写真は、三重県・神島の集落で育っていたスイカです。特にスイカが有名という島ではないのですが、あたたかい日差しの下で丸々と育っていたので、つい撮ってしまいました。海を隔てた島々は物資が潤沢に揃うとは限らないからでしょうか。「自分たちで出来るものは自分たちで」という意識を感じます。野菜や果物はその典型例。決して全国に名を轟かせるような産地でなくとも、島の畑や農園を覗けば色々と見かけます。
母島(東京)の道路わきに自生していた島バナナ
島パッションフルーツ。育て方を見れたのも面白かった。
島の野菜や果物は総じて「島野菜」と呼ばれることがあります。例えば、島で収穫されたトマトは「島トマト」、沖縄などの南の島で獲れるバナナは「島バナナ」なんて言っちゃいます。どこからそんな文化が始まったのかはよくわかりません。しかし、普通の名前で呼べば良いところを、わざわざ「島」とつけるだけで、何だかありがたい食べ物に感じてしまうから不思議です。 農園を構えてたくさん育てているものもあれば、家の脇の畑で細々と育てているものもあります。中には誰が所有しているのかわからない場所に(おそらく)自生しているものまで。都会では見かけないような風変わりな「島野菜」も、「こんなに身近な存在なんだ!」とつい驚いてしまいます。島の生活が垣間見えた気がするのです。
そして、味もまぁほぼ間違いなく期待を裏切りません。島のひとつひとつ、島野菜のひとつひとつを具体的に説明したいところですが、長くなるので割愛します。。大量に出荷をするわけでもなく、限られた島のなかでマイペースに育ち、島の恵みを受けながら育った「島野菜」は無名の一級品。訪れたからには、ぜひそういった部分にも注目してほしいところです。
波照間島のさとうきび畑