【島のちょっとイイ景色】ちょっと寄ってく?船客待合所

自由に使える「島のくつろぎ空間」

神津島(東京)の船客待合所。この日はGWでしたが、お昼から爆睡の人も。

 島の船客待合所が好きです。待合所を積極的に利用する人はあまりいないと思います。せっかく訪れたからには外に出て遊びたいですからね。ただ、もし気が向くことがあれば、ちらっと覗いてみてください。実はのんびり過ごすには、かなーり贅沢な場所だと思うのです。 上の写真は伊豆諸島・神津島の船客待合所です。広々とした待合所内にたたみのスペースが設けられており、テレビが流れています。そして、そこに寝転がりながらくつろぐ男性2人。そのうちの一人は気持ちよさそうに寝ていました。そうです。待合所は船を待つ性質もありますが、何より「島のくつろぎ空間」という側面も持っている気がします。

答志島(三重)の和具船客待合所。

船の出港後、島の奥さんが遊びに来ていました。

焼尻島(北海道)の船客待合所。観光客同士で会話を楽しみつつ、船が来るのを待ちます。

 また、観光客が島内のあちらこちらを巡っているころ、待合所は時に井戸端会議場になったりします。ふと気が付けば、島の奥さんが、協会の観光職員さんと立ち話なんてのもよく見かけます。日陰でちょうど良いのでしょうか。つい、立ち寄っては長話もしたくなるみたいです。「交通整備の整った内地なら、次から次へと人の出入りもあるだろうけど、島だと船が来る時以外は静かだからねぇ。」

とある島の観光協会の職員さんがそう仰っていたのを覚えています。なるほど、「島ならでは」というわけですね。静かな場所ゆえか「ここで本を読むのが好き」という人も。意外と使い勝手が良い気がします。そのほか、島によってはこの場所を集会場にすることもあります。例えば小笠原諸島では、島内で催されるイベントや郷土芸能の勉強会などはここで行われることがあります。

小笠原諸島・父島(東京)の船客待合所。この日は硫黄島クルーズというイベントがあり、出発式が行われました。

 そんな船客待合所ですが、船が発着する際はにわかに賑わいます。例えば、島によっては観光協会や案内所が併設されていたり、はたまたお土産屋さんが併設されていたりするので、そういったときにはとても賑やか。大きい荷物を下げた人たちが、行きはどこへ行こうかと待合所の地図を確認し、帰りは記念写真でも撮りながら別れを惜しみます。そうして、人の嵐が去ったあと、待合所はふたたびがらんとします。この一連の流れに、旅情を感じずにはいられません。