いよいよ年末年始、今年も残すところあとわずかです。この時期になると、地元でゆっくり羽を伸ばそうと考える人もいれば、どこか遠出をして越年なんて人もいますね。
全国の島々でも、年末年始は帰省や観光客で活気が増します。中には島特有の行事が催される島もあり、ひと味違った越年が楽しめたりするのです。今回はそんな“島ならでは”のイベントや行事を紹介します。
九州、沖縄編
福江島(長崎) 4社参り(1/1)
福江島では島内大津地区に点在する4つの神社へと初詣をする、4社参りという習わしがあります。五社、八幡、天満、住吉と4つの神社にはそれぞれ異なる神が祭られており、それぞれの神社から福江島の歴史に触れることができます。どの神社も距離が近く行き来がしやすいので、意外と短時間で回れてしまいます。どの拝殿も木々に囲まれて雰囲気ものどか。島のゆったりとした正月を楽しめるはずです。
福江島
築島(宮崎) 恵比須祭(1月第1日曜)
宮崎県日向灘に浮かぶ築島は、1882年(明治15年)、宇和島の漁師・築島藤吉が61円で島を買い取ったことから定住が始まった歴史の浅い島です。恵比須祭は島内に伝わる2つの祭事のうちのひとつ。人口が100人に満たない島ゆえ、祭事は島全体で行われ、恵比須祭においては特に島の子供たちが活躍します。ビロウの葉で伊勢えびを作り、願い事を書いた絵馬とともに恵比須神社に奉納。願いごとを祈るとともに漁に出る人たちの安全や大漁を祈願します。だいたい一月の第一日曜日に行われるそうです。(島民の都合による変更あり)
築島
屋久島(鹿児島) 鬼火たき(1/7)
屋久島には古くから伝わるしきたりや文化が多々ありますが、鬼火たきもそのひとつ。正月の魔除け行事として、火で厄を払うというのがこの鬼火たきです。しめ縄や門松といった正月飾りが、鬼の人形や絵などと一緒に燃やされます。島内では集落ごとに行われますが、なかには大規模に行う集落もあるようで、ちょっとした名物になっているとか。こうして1年間の無病息災が祈られます。
屋久島
徳之島(鹿児島) 闘牛正月場所(1/1~1/4)
徳之島ではおなじみの闘牛大会です。元々は、薩摩藩によるさとうきび税に苦しめられた島民が、税を完納した際にその喜びを祝って行ったのが始まりと言われ、唯一の娯楽だった歴史があります。そのためか、島民の闘牛にかける思いもひとしお。島内では300頭近いケンカ牛が育てられ、本場所に挑みます。年に3度の本場所が行われますが、そのうちのひとつが正月場所。年始早々から4日間、島内の闘牛場が白熱します。
久高島(沖縄) カチャーシー(旧正月)
沖縄の中でも「神が降り立った聖地」として、神聖な島とされている久高島。沖縄の行事は旧暦に則ることが多いですが、なかでも旧正月は特別な日として考えられています。島の中央にある外間殿(ほかまどぅん)に集まり、白装束を着た神役の女性らを中心に、1年の健康や繁栄を祈ります。もう一つ特筆すべきは、神人からお酒を頂く「酌とぅい」の儀式。酌を受け取ったあとは、健康を祈願して踊ります(カチャーシー)。
黒島(沖縄) 大綱引き(旧正月)
同じく旧正月に行われる伝統行事。古くより歌われてきた「正月ユンタ」を歌いながら会場に集まり、歌の合間には参加者に神酒が注がれます。島内には5つの集落がありますが、それぞれ南の仲本と北の東筋に分かれ、綱引きを行います。この綱引きは畜産の繁盛と豊作への願いを込めたもの。北が勝てば畜産の繁盛、南が勝てば豊作になると言われています。
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一見変わったお祭りばかりですが、それぞれ歴史を持っているのが印象的です。特に沖縄では、旧正月を境に年末年始の意識があるようで、旧正月の時期こそ準備で慌ただしくなる様子。このあたりの違いも興味深いところです。ただ、全てに共通するのは「今年1年が良い年でありますように」という想い。誰にとっても年末年始は特別な時期ですよね!