いよいよ年末年始、今年も残すところあとわずかです。この時期になると、地元でゆっくり羽を伸ばそうと考える人もいれば、どこか遠出をして越年なんて人もいますね。
全国の島々でも、年末年始は帰省や観光客で活気が増します。中には島特有の行事が催される島もあり、ひと味違った越年が楽しめたりするのです。今回はそんな“島ならでは”のイベントや行事を紹介します。
近畿、中国、瀬戸内海編
神島(三重) ゲーター祭(1/1未明)
三島由紀夫『潮騒』の舞台としても知られる神島には、昔ながらの文化やならわしが多く残っています。元旦に行われるゲーター祭もこのひとつ。グミの木を束ねた2メートルほどの日輪に擬した輪っか「アワ」を、これまた長い竹で空高く突き上げます。元旦の夜にしんとした空気の中で行われるためか、独特の緊張感が漂っています。ゲーター祭は奇祭として知られていますが、今となってはゲーターという名の由来も語源も知られておらず、文化として残ったこの祭りだけが、大切に伝承されています。(動画)『奇祭 ゲーター祭り』白装束を身にまとい、「よいさーよいさー」と掛け声を上げながら、「アワ」を作ります。
真鍋島(岡山) お開帳(1/1)
元旦の朝、四国の金刀比羅宮から授かった札で頭を叩いてもらう行事。その昔、真鍋島の漁師が遭難した金比羅船を救った縁で、毎年特別に札を授かるそうですが、詳細は不明。
真鍋島
小豆島(香川) 二十四の瞳 映画村「ふるさとのお正月」(1/1~1/3)
小豆島町にある二十四の瞳映画村にて開催されるイベント。凧、こま、剣玉、福笑い、羽子板、すごろく、竹馬など、昔ながらのおもちゃが無料で貸し出しされるので、童心に帰って楽しめそうです。そうでなくてもレトロ看板をはじめとした昔懐かしい装飾が楽しめるこの映画村。年配の方々ほどグッとくるものがあるのではないでしょうか。せっかくですので、現代の子供たちに伝えていく機会にもしたいですね。
小豆島
志々島(香川) カンノメ
瀬戸内海に浮かぶ塩飽諸島(しわくしょとう)の中のひとつ、志々島では「新年に餅をつくと不吉」という言い伝えがあります。これは戦国時代、土佐の長宗我部氏に攻め入られた香川氏の家臣たちが、居城した対岸の雨霧山(天霧山)から島へと逃げてきたことに由来します。このことから、「いつ敵が攻めてくるかわからない」「餅をついている場合ではない」という風潮が広まり、島では餅の代わりに団子(カンノメ)を使って雑炊を作るようになったとか。喉にもつまらないし、汁物に入れてもとろけないという点で島内では人気です。志々島
厳島(広島) 鎮火祭、歳旦祭、二日祭、元始祭、地久祭(1/1~1/3、1/5)
新年の厳島は「宮島さん」の参拝客でいっぱいですが、それだけに様々な神事が執り行われます。まずは、大晦日の夜から火難除けとして「鎮火祭」。宮島さんが炎で彩られます。年が明けると、新しい年を祝って「歳旦祭」、「二日祭」、「元始祭」、「地久祭」(1/1~1/3、1/5)と続き、祭典のほか、舞楽が奉奏されます。テレビなどでも見かけるためか、人々にもよく知られた年末年始の様子言えるでしょう。
厳島
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代表的なものは以上です。しかし、ここで紹介したもの以外にも、正月行事と思われるものがいくつかありました。中には人口の少ない島でひっそりと行われている行事もあり、なかなか興味深いところです。島々で独自に育まれた文化やならわしに触れてみてはいかがでしょうか。