全域がジャングル、亜熱帯の島
沖縄県・八重山諸島。本州よりも台湾の方がはるかに近いこの島々の中で、最も大きな面積を持つのが西表島です。訪れたことが無くても「名前は聞いたことがある!」という人も多いのではないでしょうか。 沖縄県内の中でも2番目に大きいその島は、ほぼ全域がジャングルで覆われた、国内でも数少ない亜熱帯の大自然を残す島なのです。そのため、その自然の豊かさがしばしば注目され、1年を通じて多くの観光客が訪れます。
中でもジャングル特有のマングローブ林は、まるで異国のような雰囲気で必見!!本土ではとても見かけないような動植物も多く、希少生物の宝庫と言われています。島の周囲を囲む海は南国特有の鮮やかな青い海が広がり、海も陸も楽しみが尽きません。 広い島ゆえ、島内にはいくつかの集落があり、遊ぶポイントや見どころも広く散らばっています。玄関口となる港は北の上原港と南の大原港の2つあり、訪れたい場所によって上手く使い分ける必要があります。それでも恐らく時間はあっという間でしょう。可能であれば最低でも2~3泊は滞在したいところです。
西表島の見どころ
景色を楽しむ
西表島全体に言えることですが、密林の中は雨天時や曇天時でも幻想的。足下に気をつけて、非日常空間へ。
※()内は最寄港を示します。
星砂の浜(上原)(場所)
シュノーケリングの名所として知られる星砂の浜です。その名の通り、星の形をした砂粒を拾うことが出来るロマンあふれる場所。こういう場所は一人で過ごしても、恋人や家族で過ごしても絵になるから素敵です。星の砂については、ぜひ現地の方にどんな砂かを聴いてみましょう。面白い話が聴けるかもしれません。海の中を覗き込んでみると、気持ち良さげに泳ぐ南国の魚たちやサンゴがあちこちに。
浦内川(上原)(場所)
浦内集落と祖納集落を隔てる浦内川です。こちらは後述する仲間川と並んでマングローブ密林の名所!カヌー、もしくは遊覧船で川からマングローブ密林を楽しむことが可能です。特に遊覧船では行けないような場所にも寄り道できるカヌーはおすすめ!6月にはサガリバナを観ることが出来るかも・・・。更に時間をかけて歩き進むと、西表島三大名滝のうちの2つ、マリユドゥの滝とカンピレーの滝に続きます。
船浦橋(上原)(場所)
陸地から陸地へ、海の上をまたぐ長い橋です。潮の満ち引きに応じて海の表情も変化しますが、ここを車やバイクで走るだけで、それはもう気分爽快の一言!潮が満ちている時はまるで海の上を走っている気分に。引いている時は浜に降りてヒナイ川を進むことも出来ます。カヌーを抱えて歩き、潮が満ち始めたらカヌーに載って移動する強者も・・・。奥へと進んで行けばピナイサーラの滝まで続きます。
船浮集落(船浮)(場所)
西表島の西側、白浜集落より船で10分の場所にあるのが船浮集落です。西表島と別の島というわけではありません。同じ陸で繋がっていながら、船でしか行けないというかなり珍しい場所で「陸の孤島」という異名を持ちます。上原や大原の集落が都会に感じられるほど、秘境度は抜群。集落の人口は40人前後ですが、黒真珠の養殖が営まれており、そのほか民宿や学校、商店などもあり、小さなコミュニティが形成されています。数多訪れる西表島の観光客でも船浮まで訪れる人は少ないですが、それだけに非日常な時間を楽しむにはもってこいの場所と言えるでしょう。「イリオモテヤマネコ発見・捕獲の地」や旧日本軍が掘ったトンネルなど、歴史を感じる見どころもあります。
イダの浜(船浮)(場所)
船浮集落から徒歩10分程度、丘を越えて下った先の浜がイダの浜です。ここは広い西表のビーチの中でも別格の美しさ。波も穏やかで驚くほど静か、青色が鮮やかな西表島の海を思えば、良い意味で西表島らしくない、透明度の高い浜が光りに照らされて煌めきます。日本でも5本の指に入れて良いほど、美しい浜と言っても過言ではないでしょう。
仲間川(大原)(場所)
西表を代表するマングローブの密林を眺めるならここ!大原港の脇を流れる二級河川です。川は船やカヌーで遊覧可能(潮の満ち引きによっては)で、密林の中を進むことが可能。林野庁森林生態系保護地域保存地区に指定された亜熱帯独特の原生林は貴重な動植物の宝庫。水面にまで映り広がる木々の緑にきっと気分が洗われます。
南風見田の浜(大原)(場所)
片道およそ1時間30分、西表島交通の路線バスの終着であり、日本最南端のバス停・豊原から、さらに徒歩で林道を歩くと見えてくる遠浅の浜です。フィリピン海が目の前に広がり、暖かい風がそよぎます。
島の動物たち
恐らく無意識に過ごしていても、数回は目の前に現れて興味や関心を引きつけてくれるでしょう。亜熱帯特有、本土ではまずお目にかかれないような珍しい動物たちが暮らす西表島は、まさに天然のサファリパーク。陸を歩く亀やカニ、夜に道ばたで光る蛍、ちょっと本土にはいない大きさの虫、鮮やかな色をしたハブやトカゲ、カラフルな魚たち、力強く飛ぶワシ、冬眠でも数年に一度見るか見ないかという猫・・・等々。そんな動物たちに出会ったなら、現地の人やツアーガイドら詳しい人に質問をしてみましょう。オドロキが2倍、3倍に・・・。
自然と遊ぶ
マリユドゥの滝、カンピレーの滝(上原)(場所)
浦内川を奥地へと進んで行く遊覧船の終点からさらに徒歩40分。まず最初に見えるのは「日本の滝100選」にも選ばれた豪快さがウリのマリユドゥの滝、「マリユドゥ」とは丸い淀という意味で、その名の通り、滝壺が丸みを帯びた円形になっています。南国でもこういう場所は肌でしぶきを感じるのでしょうか。なんとも涼しく思えたりします。
そのマリユドゥの滝からさらに上流へ、徒歩10分ほど進むと今度はカンピレーの滝が見えます。カンピレーは「神の座」という意味。落差の低い滝で、まさに「座」という印象。広々と見通しがよく、小さな落差が沢山見られ、これはこれでなかなか見られない類の滝ではないでしょうか。
ちなみにここまではガイド付きツアーで気軽に訪れることが出来ますが、さらにここから古見集落や大原集落へ抜ける登山道もあります。かねてより、西表島の大自然を目一杯体感する登山コースとして知られており、山小屋なども設置されていますが、難易度は高く、許可申請が必要です。
ピナイサーラの滝(上原) (場所)
船浦橋の道路脇を降り、潮の満ち引きに応じてカヌーまたは徒歩で、浜辺を島の奥地に向かって歩いて行きます。ヒナイ川に差し掛かるとそこから歩道が続き、ピナイサーラへの道がスタート。15分ほど歩くと、マリユドゥやカンピレーの滝とは違う、落差のある細やかなしぶきの美しい滝に目を奪われます。その落差は沖縄県内ではもっとも大きい54m。圧巻です。体力に自信があれば、90〜100分かけて滝の上に上るコースにもぜひ挑戦を。足下には十分気をつけて。
施設を楽しむ
西表島野生生物保護センター(大原)(場所)
イリオモテヤマネコの保護活動の拠点として整備された施設。展示やグッズ販売も行われています。希少なヤマネコが人前に姿を現す場合の多くは、えさを求めて車道や集落へ降りて来たとき。それゆえに交通事故も多く、その対策には島ぐるみでの取り組みが必要になるのです。また、島の道路で見かける「ヤマネコ注意」の看板も同センターが設置しています。もし、万が一ヤマネコを見かけた時はセンターへ一報を。