「痛ッ!!・・・くない」 バシン!!バシン!! そこそこの力を込めて叩くと想像以上に痛・・・くない。(あれっ?)これが・・・おばあちゃんの優しさ!?
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大きく分けて東側、西側の集落に分かれる愛知の離島・佐久島。比較的穏やかな西側の中心地であり、旅の案内所や休憩所としての役割を担う弁天サロンもやはり穏やか。元々は1995年(平成7年)に、島の出身者から寄付された民家だったそう。今では立派な島の活動拠点と言っても良いほどの存在だ。
もともと伝統的な古民家が多く残る佐久島。「集落全体を伝統的な景観として復元し、住む人にも訪れる人にも居心地の良い空間を広げていくことができれば…」という想いの下に誕生した弁天サロンは、やはり居心地が良かったのかもしれない。
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暑さも手伝って少しばて気味の身体。身体が水分を欲していると、ちょうどよいタイミングでお茶を持ってきてくれた。弁天サロンの管理人の相川さんだ。定年を迎えてから、弁天サロンの管理人へ”転職”したのだとか。誰かの家にお邪魔したような気分で居間に腰かけると、途端に身体を支えていた芯が抜ける感覚になるのだ。「あぁ、このまま寝転がってだらだらしたい・・・」 さすがにそれはだらしがないが、そんな気分になるくらいゆっくりとした空気が流れるのだ。専門家ではないので詳しくはわからないが、これが・・・木のぬくもり、木の温かみというヤツか・・・。2泊3泊しようものなら、半日~1日はここでのんびり過ごしてもいい。程よい空調、窓に映る船と港、じわり揺れるカゲロウ、お茶を淹れてくれる島のおばあちゃん、そしてこの木のぬくもり・・・。これはいわゆる”田舎のおばあちゃんの家”のイメージだ。居間に寝転がって、テレビのリモコンと、充電器に差しっぱなしの携帯電話を手元に置いて、さらに漫画も5冊分くらい枕元に積んでおいて、うーんお菓子も欲しいな・・・。あっ、これを毎日繰り返すとニートになるのか!!
そんなどうでもいいことを考えつつ、ふと床の上にある箱が目についた。「肩叩き棒 佐久島デーサービスのおじいちゃんおばあちゃんが作りました。ご自由にお持ち帰りください」
と書いてある。細めの棒を数本束ね、それを柔らかい布でくるんだ棒だ。「どうぞ、それ持って行ってね。」
相川さんが言う。お言葉に甘えて・・・。私事だが、公私に渡ってパソコンを使う機会が増えた。自慢ではないが、”なかなかいい肩こり”を持っているのだ。「・・・ふむ。」
布の具合が良い。これは手に馴染む。・・・いざッ!
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バシン!!バシン!!手ごわい肩こりを相手に、そこそこの力を込めて叩いた。・・・なかなかの音量だが痛・・・くない。むしろ程よく気持ちがいいのだ。何が優れているのかはわからないが、長さも叩きやすさもちょうどいいのだ。痛快なほどいい音を鳴らすのだが、肩のほうは、手で叩くよりも効いている。欲しい刺激はそのままなのに、しかし痛くないとでも言おうか、力任せではない、優しい叩き心地に変わるのだ。これは病み付きになる。
「いやぁ、これいいですね!」思わず僕はそう言った。
「そりゃあね、一番肩を叩いて欲しい人が作っているんだから。」・・・なるほど。
僕は一本もらって帰った。
◇参考情報◇
(佐久島ホームページ)◆住 所・・・愛知県西尾市一式町佐久島西側41
◆電話番号・・・0563-78-2001 ◆営業時間・・・9:00~17:00
◆休 み・・・月曜日
◇佐久島の詳細はこちら◇ 「【愛知】佐久島 ~島に溶け込むアート、島に癒されるハート~」
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