地中埋設物はやっかいダ!

chocozai1652さんの「電電公社の痕跡」、とくに2番目と3番目の写真を見て、リアルに思い出したことがあるので、関連記事として。

道路の下にはいろんなものが埋まっています。水道、ガス、電話ケーブル、化石や遺跡…。どれも工事業者にとっては「やっかい」な対象です。だって、大きなユンボでガーッと地面を掘り返す訳です。下手こいて地中埋設物を引っかけちゃうと大騒ぎです。

直径5センチくらいの水道管を引っかけちゃうと、噴水が上がります。道路は水浸しになってしまいます。ガス管だって爆発とか火災の危険があるから大変です。

だから、道路工事をする時には、どこにどんなモノが埋まっているか、あらかじめ調査しておきます。調査もせずに掘る業者がいたら素人です。

でも、たとえ調べていても、昔の設計図に描かれた場所と違うところに埋まっていたりすることもよくあります。

だからガス会社は道路工事の現場に毎日のようにパトロールにやってきて、

「今日は何センくらい掘んの?」(工事関係者はセンチを「セン」と省略することが多いようです。だからミリは「リン」。10センチ5ミリは「10銭5厘」になります)

なんてやり取りをしていきます。毎日来てくれるから仲良しになって、休憩時間に缶コーヒーをおごり合ったりもします。

水道の方は、大きな本管の近くで掘削でもしない限りわざわざ工事現場に点検に来ることはありませんが、万一事故った時には、いっしょに水浸しになって復旧作業してくれます。どうしても水道管を動かさなければ工事ができない時などには、「付け替え」作業に協力してもらえます。

でも…。電電さんはちょっと雰囲気が違うんですよね。呼ばなきゃ来てくれないだけではなくて、そのケーブルがあるせいで公共工事が進められないという状況でも、

「無理だなあ。動かさなきゃダメなんなら書類出しもらわないと」

といった対応なのです。もちろん埋まってるモノがモノなのは分かります。電話ケーブルを引っかけたりしたら、何千世帯、何万世帯の通信回線がストップしてしまうかもしれません。もちろん新聞沙汰です。賠償請求なんかされたら、田舎の工事会社なんか一発で吹っ飛んじゃいます。

なので、恐る恐る聞いてみます。「申請したらどれくらいの期間で付け替えてもらえるんですか?」

答はこんな感じです。「営業所レベルじゃ判断できないから、書類はもっと上の方まで行って審査・検討された上で、移設の是非について連絡するから」。

昔、自分が関わった現場では「結論が出るまで最低2カ月はかかる」と言われました。そんなんじゃ工事が終わりませんから、けっきょく公共工事を発注している行政側fが設計図を書き換えて、道路構造物の規格を変更するしかないかという話になりました。

その現場すぐそばに、chocozai1652さんの記事に紹介されていた看板がたしかに掲げられていたのです。ふう…。

同じ埋設物なのに、違うんです。

ガスや水道は同じ工事をする仲間といった意識。連帯感みたいなものまで感じます。他方、言っちゃ悪いけど電電さんは「お役所」。いや、本物のお役所が折れてしまうくらいだから、「お役所以上」ってことか。

NTTが東と西に分かれてから、対応や雰囲気はずいぶん変わりましたが、やっぱり組織が大きいとどうしても…。

昔の話なんで、きっといまは違うんだろうと思いますよ。

でも、組織がでかくなると対応が遅くなりがちという、年寄りの昔話、たとえ話として読んでいただけると幸いです。●ちなみにもう1つの埋設物、遺跡なんかが出てきた時には、調査で数カ月現場が止まってしまいます。でも、だからって、出て来た土器とか化石とか、こっそり捨てたりしないで下さいね、土木工事関係の皆さま。(OBからのお願い)