活けづくりの骨泳がしって、何が悪いの?

活けづくりの骨泳がしって、何が悪いの?

刺身用に三枚下ろした真ん中の「頭と骨と尾」を、そっと水槽に戻す。

板前さんが気合を入れると、左右の身をなくした魚が、まるで何事もなかったかのように、水槽の中を泳ぎ出す。骨泳がしと呼ばれる板前さんの技です。

「包丁人味平」の印象があまりに鮮烈だけど、まさかホントにできるワケないと思っていた人が多いかもしれません。しかし、数年前みのさんのテレビ番組で大阪の板前さんが実演するや、残酷だとか何だとか、非難する書き込みでネットが溢れましたね。

沼津にとても腕のいい板前さんがいましてね、「M」というお店のオーナーシェフさんなんですが、彼がやっぱりできるんです、骨泳がし。普段はあまりやらないということなんですが、町おこしイベントの演目として見せてもらったことがあります。しかも屋外ステージで。

鮮やかな包丁さばきで、ささっと普通に三枚に卸したアジの中骨が、水槽の中で見事に泳ぎました。

残酷とは思わなかったな。

板前さんの見事な腕前に「すごいなあ」と感じたことと、身を失っても水槽で泳いでいる魚の姿に、「生き物を頂いている」という思いを新たにしたこと。

個人的には、いま時の子供たちには食育の一環としてぜひ見てもらいたいと感じました。

テレビじゃなく、実際に目の前で見ると、感じ方も違うかもしれませんよ。おいしい魚を食べるなら、伊豆がおススメですよ!

ちなみに、活きた魚を普通に刺身として調理する場合、舟盛りなんかで尾頭を使わない限り、三枚に卸したらすぐに中骨のところは出刃でバンバンと2つか3つにぶった切ってゴミ箱に投げられるところです。