自分の中の常識をことごとく壊されました。
途上国だからと簡単に切り離して読んでしまうと情報がないから仕方がないで終わってしまうのですが、そんなふうにを考えずに概念が違う世界で生きている人間だと思って読むと非常に面白いです。
情報社会を生きた人が思考を駆使して概念を語るのではなく、アマゾン奥地に住んでいるピダハンの生き方から自分と全く違う概念を知るので、「それはおかしい」とは言えない説得力があります。
例えば、ピダハンは食品の保存方法を知っているのに、とってきたものすべてをすぐに食べます。でも商人には加工した保存できる食品を求められるので加工して売ります。
例えば、カヌーの作り方を習っても、カヌーは作れないといいます。
こういった行動を見ると、出来ない知らないのではなく、やらない選択をしているのだと感じます。
もう一つ印象的だったのが、難産の妊婦が苦しんでいて、それを承知の上で手出しをしないことです。誰でも自分の始末は自分でつけることに価値を持っているそうです。
私達の思考ででは、「なんて冷たいんだ」とか「不親切だ」という視点で見てしまうけれど、おそらく厳しい自然環境で手助けによって生き残っても、その後弱っていき、苦しめることを伸ばすということなのではないかと思います。
「命は大切」ということは間違いないのでしょうけれど、助けることが正解という一方的な視点は西洋人思考のエゴかもしれないと感じました。
自分の前提を見つめ直すような本です。