自閉っ子のおくすり事情 ~飲めない~

どうやら娘は花粉症になってしまったみたいです。

といっても「サラサラの鼻水が止まらない」というものではなく「粘り気のある鼻水がずっと残っている」感じです。

そこにはこんな問題があります。「娘は鼻をかむことができない」のです。

そのため、すすった鼻水が鼻の奥に留まってしまうか、あるいはノドの方へ落ちて痰になります。「後鼻漏(こうびろう)」というヤツですね。

娘は「痰を切ることができない」ので、ノドの奥にずっとある異物感のせいで「咳が止まらない」ということになってしまいます。

自分が小学校3~4年生のころ、鼻炎でいつもそんな感じだったのですごく気持ちがわかります。走ったりすると息をうまく吸えなくて「おえ」ってなっちゃうんだよね(>_<)。

花粉予防とエチケットも兼ねて娘にはマスクをしてほしいところですが、ぜったいにマスクをしてくれません。耳にゴムやヒモがかかるとか口を紙とか布で塞ぐなんて娘にとっては「異常事態」、即パニックの原因です。だから目の前に出された時点で怒って投げ捨ててしまいます。

しかしいまのご時世、咳をしているこどもがマスクをしてないなんてまわりの方にもイヤな思いをさせてしまいます。なんとか症状を軽くしてあげたいです。

身体も量も大きくなって

ということで「こども用の鼻炎シロップ」を買ってきました。

娘がもっと小さい頃、病院で処方されたシロップは「薬を流し込む用の目盛り付きスプーン(そういうのが売っています)」に入れ、娘を仰向けに押さえつけて「とぅわー!」と不快感の叫び声を上げる瞬間「口が空いたスキに流し込む」方式でした。

しかし体が大きくなって飲むべきシロップの量が増えたこと、娘が本気で抵抗すると大人ふたりでも押さえ込むのが難しい(無理するとお互いにケガをする)こともあって、その方式が使えなくなりました。

どうしたものかとそのシロップの公式サイトを眺めていたら「混ぜてもいいもの」というコーナーがありました。

くすりを飲めないこどもたちのためにそういうお悩み相談コーナーがあるんですね。そしてその中に見つけました。「ジュース」という記述を。

※ただしグレープフルーツジュースは避けた方がいいそうです。

味はどうかな

娘は某メーカーの野菜ジュースが好きで1日1本は飲んでいます。その中にシロップを混ぜれば飲んでくれるかも知れません。

問題は味です。

娘はそもそも甘い飲み物は好きではありませんで、ジュースは全くと言っていいほど飲みません。緑茶、麦茶、ジャスミン茶、ルイボスティーなどなんでもござれ。ブラックコーヒーも飲みます(わたしたちが飲んでいると横取りする)。

甘い飲み物で唯一好むのが野菜ジュースですが、飲める味はさらに限られていて「ノーマルのもの」と、デコポンやシークヮーサーなどの果汁がミックスされた「季節限定もの」だけなのです。

それに対してこども用の鼻炎シロップは「いちご味」。これと野菜ジュースの相性がどうなのか、カギはそこにあります。

付属のストローで穴をあけ、鼻炎シロップをスポイトで容器の中に注入。「いけない薬の実験をしているポンコツ博士と助手」の気分です。

「博士、とうとう完成ですね!」「ふふふさっそくワシが飲んでみせよう」ということで味見をしてみると…うん、なんとかいけるかも…。

さっそく娘に与えてみました。ふだんは下の写真のような表情

で南米の方がマテ茶を楽しむようにジュースをたしなむ娘ですが、シロップを仕込んだジュースを飲ませたところ、こんな感じになりました。

「???なんかおかしい…」

パッケージをガン見しています(;^ω^)。

「でもいつものヤツだよなあ」

以来、シロップ入りの野菜ジュースを飲むたびにパッケージを確認する娘ですが、味自体は問題ないようで、すんなり飲んでくれています。

これからも続く課題

ことし11歳になる娘は、今回買った「こども用シロップ」の対象年齢を外れています。しかし大人用シロップのあの「いかにもな味」だったら飲んでくれないかも知れないので、今回はこども用にしました。

ちなみに他のタイプの飲み薬はどうしているかというと

・粉薬…飲めない。小さい頃はアイスに混ぜれば食べてくれたが、いまは味的にも量的にも無理がある。

・錠剤…飲めない。飴もいっさい舐めない娘にとってあの物体は正体不明の異物でしかなく、すぐに吐き出す。

となっています。つまり「シロップ以外飲めない」状態です。

なぜか鼻と目はOK

言葉を持たない娘には「くすりを飲むとラクになるよ」ということが伝えられません。でもたとえば

・目薬…体を押さえつけて目が開いていればサッと挿す。その瞬間目を閉じたとしても、やがて目が開いたとき目頭に溜まった目薬が流れ込むのを待つ。押さえつけるとき、なぜか飲み薬の時ほど嫌がらない。

・点鼻薬…ほぼ嫌がらない。今回は自分から進んで取りに行ったこともある。

などのように、「これをガマンすればそのあとラクになる」みたいな感触はもっているみたいです。

飲み薬と違って、即効性とは言わないまでも「物理的な刺激があることで不快感から気を逸らすことができる」のでしょうか?

でも塗り薬・貼り薬は嫌がります。「一瞬の刺激はいいけど刺激が継続するのはイヤ」なのかな。謎は深まるばかりです…。

来年からはどうだろう

鼻炎シロップが効いたのか、さいわい鼻水も咳もほとんど出なくなりました。

咳が続くときに心配したのは「花粉用による鼻水が原因だったとしたら、花粉症の季節が終わるまで咳も止まらないことになる」ということでした。

鼻をふん!ってできるようにしてあげたいし、痰も自分で吐き出せるようにしてあげたいのですが、できるようになったらなったで

「いつでも所かまわずやってしまう」

というお子さんもいるらしいです。花粉症になったのか、そうでないのかも含めて娘のおくすり事情の前途は多難です(;^ω^)、がんばります。