先週の金曜日、娘は「校外学習」として三島市立公園「楽寿園」に行ってきました。
ふだんから家族でよく行っている楽寿園に学校行事で参加したのはどんな気持ちだったかな、と思って学校からの連絡帳を開くと、衝撃的なことが書いてありました。
「足の腫れを保健室で診てもらったところブヨ刺されのようです。かかないようにばんそうこうを貼ってもはがしてしまいました。お家では毒を吸い出すなどの処置をしてあげてください。」
娘の足を見ると、蚊とは違って赤い出血点をともなう傷口が両足に1カ所ずつ…ああ、これはブヨです。恐れていたことがとうとう起こってしまいました。
それはわたしの天敵(生涯全敗)
ブヨに噛まれた(刺すというより噛み切るのです)ことがない人、噛まれてもそれほどひどい症状にならない人にとっては全然ピンと来ないことだと思いますが、わたしがこれまで娘がブヨに噛まれないようにということを神経質なほど気にしていたのにはちゃんとした理由があります。それは
「娘がわたしの体質に似ていたとしたら、地獄を見るから」
です。
わたしが子どものころから数えてブヨに噛まれた回数は10回にも満たないと思います。なのにこれだけブヨを恐れるのは、ひとたび噛まれると「1カ月以上は治らないから」です。
噛まれた当日は特に気にならないので、いつも「あ、今回は大丈夫かも♪」と期待してしまいます。しかし翌日になると例外なくパンパンに腫れまくり、猛烈なかゆみと熱を持った痛みが1週間は続きます。
ようやく腫れがひいたとしても傷口はふさがらず、膿が出続ける日々。完治まで必ず1カ月以上かかります(直近で噛まれたのは5年前なのに、今でも時々その場所が腫れるほどです。ブヨすごすぎ)。
娘はそれをどう感じるのか
重度の知的障害を持つ娘には、自分が置かれた状況がまったく理解できないでしょう。
わたしがこれまでに味わってきたあの猛烈な痛痒さと大きな腫れ、そして患部の熱。ひどくなると睡眠にも影響してしまいますから、もしかしたら娘はパニックになってしまうかも知れません。
「ひどい時には病院へ」と言いますが、連れて行ったって暴れる。ばんそうこうや包帯は取ってしまう。「かいちゃダメ」がわからないので、かき続けてしまう。するとよけいに悪化する。
そうなってしまったらどうしたらいいかわかりません。まさに地獄です。
やれることをやる
幸い今のところ娘は噛まれた場所を気にしていません。とにかく最善を尽くそうということで「ポインズンリムーバー」を用意。暴れる娘を押さえつけて患部を吸い出します。
噛まれてからだいぶ時間が経ってるけどな、毒は出るのかな…出てきたのは体液だけのような気がするなあ…。
しかも、傷口を刺激されたからか娘は急にその場所を気にし始めて、かくようになってしまいました。わたしたちが慌てて「ダメダメダメ!」と制したってもう止まりません。患部が赤くなってきます。どうしよう。
気分転換も兼ねて娘の大好きなお風呂へ。傷口を清潔にしたあとは、そういえば去年、川で転んで大きな傷口を作った時「キズパワーパッド」は貼らせてくれたことを思い出してさっそく貼ってみました。
ダメでした。すぐにはがしてしまいました。
頼む、フルコート。出でよ、母方遺伝
あとできることは薬を塗ることだけ。ブヨ被害に苦しむ人にとって「合言葉」に等しいぐらい定番となっているステロイド系の塗り薬「フルコート f」を塗布します。(子どもには強い薬だという心配もありましたが、娘は体が大きいので使ってみました)。
残る期待は「娘がわたしの体質を受け継いでいない」こと。ママはブヨに対してどうだったかなと思って聞いてみると、大阪の街なかから三島の山の斜面に引っ越してきたママは
「転校早々、中学でブヨに噛まれて片足がゾウのように腫れ、病院へ行った」
そうです。しかしそんな環境で中学時代を過ごしたママは耐性ができたのか、その後は何度か噛まれても軽い症状で済んでいるとのこと。何度噛まれてもひどい目に遭うわたしではなく、娘がママの体質を受け継いでいてくれますように!!
運命の翌日
娘はそのあとまた患部を気にしなくなり、いつもどおりの時間に寝てくれました。
明け方に何度か目が覚めたわたしは娘の足を見てみました。腫れは大きくなっていません。大丈夫です。
そして土曜日の朝。7時過ぎに目を覚ました娘は、これまたいつものようにわたしを引っ張り、寝室から出て行けと押し出します。「ごはんを持ってこい」ということです。
改めて足を見ると、やっぱり腫れは大きくなっていません。良かった……。
油断はできない
その後も娘は足を気にする様子はまったくなし!元気すぎるぐらい元気です。連休明けの今朝は患部の赤みも消えてきました。
ママの体質を受け継いでくれたのか、ブヨに元気がなかったのか、大事に至らなくてとても喜んでいます。
それにしても、11月に、しかも楽寿園でブヨに噛まれたなんていう話は聞いたことがありません。
ブヨが好むきれいな水があるからといって、街中にまでおりてきてしまうのはわたしのような体質の人間にとって恐怖でしかありません。それ、三島の観光にとっても良くないな、ブヨくんは今まで通り山や高原や森の清流で頑張ってください。
そんなブヨくんに向けて、うちのママからもひとこと。
「血ィぐらい吸わしたるからな、痛くすんなや」