歴史と向き合うための絵_アルフォンス・ミュシャ

7月14日は、アール・ヌーヴォーを代表するグラフィックデザイナー、アルフォンス・ミュシャの命日です。

2017年6月5日まで、国立新美術館でミュシャ展が開催されており、ポスターを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

代表作の一つ『黄道12宮』(1896-97)

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もともとポスターや雑誌の挿絵を描いていたミュシャですが、オーストリア政府からの依頼で、1900年に開かれたパリ万博のボスニア・ヘルツェゴヴィナ館の内装を担当した際に、転機が訪れます。

制作のためにバルカン半島を訪れたミュシャは、スラヴ民族が置かれている政治的、民族的に複雑な問題(オーストリア・ハンガリー二重帝国の支配)を目の当たりにます。

そこで、自由と独立を手に入れるためには、歴史と向きあう必要があると考え、祖国(チェコ)とスラブ人のために絵を描くことを決めます。

約18年かけて制作した作品が「スラブ叙事詩」です。

大作『スラヴ叙事詩』を制作するミュシャ(1920)

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スラヴ民族の歴史を描いた全20作品におよぶスラブ叙事詩は、1928年に完成します。

しかし、1918年にチェコスロヴァキア共和国は独立しており、時代遅れと評価されたこれらの絵画は、その後第二次世界大戦中はナチスの略奪を防ぐため覆いをかけられ秘蔵されたそうです。

スラヴ叙事詩から思うこと

『スラヴ叙事詩』の1枚(1912)

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ミュシャという画家については、草花を使った華麗な曲線と女性が見事にマッチした、洗練されたポスターを描くデザイナーとしての認識しか持っていませんでした。

そのため今回調べていく中で、スラヴ叙事詩から作品の雰囲気が今までとあまりにも変わることに驚きました。

スラブ人は周りの国から支配されることが多く、だからこそ歴史に向き合って、自由を勝ち取ろうという思いが生まれたのかもしれません。

民族を大切に思う気持ちはとても大切な感情だと思います。

しかし、民族にこだわるからこそ、戦争がなくならないようにも思えます。

もっと広く、みんな同じ人間というとらえ方ができれば、平和に近づいていくように思います。

そんなことを、この作品を見て感じました。