ヤルキタウンのみんなの茶ロン閉店で、名物「タコ丼」はどうなるの?

まさに寝耳に水だった。ヤルキタウンのみんなの茶ロンが今日で終了する——。情報が入ってきたのは3月31日の朝のこと。もうタコ丼やヤルキ丼を食べられなくなるのかと悲しい気持ちで訪ねると、特定非営利活動法人再生の里ヤルキタウン理事長の熊谷耕太郎さんが事情を詳しく説明してくれた。

ヤルキタウンそのものの運営は継続するが、一部の事業を終了する。終了する事業のひとつが産直&軽喫茶「みんなの茶ロン」であるとのこと。終了の理由は「再生の里ヤルキタウンのブログ」から引用させていただく。

《お知らせ》
2017年3月31日をもちまして法人の「事業一部」を終了させていただきました。
<対象事業>
1.産直&軽喫茶「みんなの茶ロン」
2.中高生のcafe&library「自間学かふえ」
<理由>
1.一定の役割を終えた・・・七回忌を迎えたこと
2.大震災から6年経過・・・運営継続が困難
3.利用客の激減・・・“復興の兆し”
<今後の展開>
お出でいただいたお客様や「ご予約」のお客様につきましては出来るだけご提供(対応)させて戴きます。お気軽にお電話ください。

引用元:陸前高田 再生の里ヤルキタウンのブログ

みんなの茶ロンは再生の里ヤルキタウンのグランドオープンと同時に2012年12月に開店。地域の人が集うお店として親しまれてきた。お店の形態としてはカフェなのに、地元の産品の販売のみならず、洗剤や歯ブラシといった日用品も取り扱ってきたことが、みんなの茶ロンの存在意義を物語っている。

2012年、陸前高田の町の広大な範囲に破壊された建物や被災物が残されていた。仮設の商店街やスーパーは営業するようになってはいたものの、車を使わなければ行けないほど遠い店がほとんどだった。住民が集まって食事やお茶っこできるような場所も限られていたから、ヤルキタウンは陸前高田市の米崎地域のコミュニティ再生の拠点だった。

地域の人たちのよりどころであったのみならず、被災地外の人たちに向けての発信基地でもあった。名物であるタコ丼やヤルキ丼、ヤル貴美しるこなど人気商品も誕生し、陸前高田への来訪者増にも貢献してきた。

しかし、七回忌を迎え、役割を終えたと熊谷さんはブログに記す。利用者が激減し運営が困難になったと実情を吐露する。たしかに近所にイオンの大型店やダイソー、ドラッグストアの薬王堂が開店し、日用品や食品の買い物は便利になった。朝日のあたる家が近くにできたため、サークル活動やサロン活動の場がそちらに移ってしまったという事情もあるだろう。

それでも、震災後に地域の人たちが中心となって立ち上げてきた集いの場がなくなってしまうのは残念なことだ。

状況の変化に対応するために事業の一部は終了するものの、ヤルキタウンの基本は変わらない。みんなの茶ロンとして利用してきたスペースの貸し出しを新規に始めるほか、園芸広場や花画廊など、自然とのふれあいをとおして住民のこころと体の健康を応援する事業にも力を注ぐという熊谷さんの言葉は頼もしい。この場所で培われたつながりが新しい種となり、これから先、新たな花を咲かせてくれることを期待する。

そんな話を聞きながら、しっかりタコ丼を食べていたのだが、タコ丼などの人気メニューは、みんなの茶ロンの終了後も予約すれば対応してもらえるそうだ。数量などによっては対応しきれない場合もあるので相談してほしいとのことだった。

締めくくりには「再生の里ヤルキタウンのブログ」からのメッセージがふさわしいだろう。

「憩える!集える!元気を発進する!みんなのコミュニティ広場グランドオープンと同時に2012年12月に開店以来、長きに亘りご愛顧をいただきましたことをスタッフ一同心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。」

なお、今後もヤルキタウン花画廊を中心に以下の法人事業を継続し、復興に向けたまちづくり、行政への補完に努めて参ります。引き続き宜しくお願い申し上げます。
   
★手づくりのお店めぐみ
    ・手づくりの集いの場として仲間が増えています。
★R.Triangle
    ・カラフルな商品が並ぶ、お客様参加型のラインナップ
★トリミングルーム「えめる」
    ・ペットサロン
★コミュニティキッチン
    ・共同調理作業所     
★貸室の案内
  会合、講習会、各種教室、研修会、ミーティング、おしゃべり空間etc                                             
★ヤルキタウン園芸広場
  ・思い思いの野菜や花を栽培し畑でコミュニティが広がっています。
★ヤルキタウン「花画廊」
   ・オランダからのチューリップI球根(25,000個)        
  ・日本三大桜祈念植樹
   ・合歓の木の植樹~花言葉は歓喜~
   ・愛知学院大生の手で“ハナノキ”(愛知の木)が交流記念植樹
  ・COOPバスボラ100回記念植樹
   ・子供パーク“キッズハウス”
   ・芝生が敷き詰められましたオープンステージ
    <万が一の避難場所として、野外音楽堂として、バーベューや
青空ワークショップetc>
   被災地に希望が膨らむ!新たなスポット!岩手の湘南にお越しく
 ださい

引用元:陸前高田 再生の里ヤルキタウンのブログ