【終戦から20数年の時代、SFに描かれた空気感】ウルトラセブン「スペル星人」

この作品についてはあまり詳しくは書きようがない。ウルトラセブンの第12話「遊星より愛をこめて」は、放映から3年後、永久欠番になってしまったからだ。

しかし、このドラマの設定にはどきっとさせられるものがある。最初のシーンである、宇宙パトロール中のウルトラ警備隊のアマギ隊員と作戦室のやり取りを紹介する。

アマギ
こちら宇宙パトロール中ウルトラホーク2号、アマギ。宇宙にはとくに異変はありません。ただ平日より若干多量の放射能を検出。

フルハシ
放射能か、ついこないだまで地球もその放射能で大騒ぎをしたもんだ。

キリヤマ隊長
うん、原水爆の実験でな。しかしもう地球上ではその心配はなくなった。地球の平和が第一だ。

ダン
まったくですね。

引用元:ウルトラセブン 第12話「遊星より愛をこめて」1967

ウルトラセブンが活躍した時代には、人類は「核なき世界」を実現していたというわけだ。

「核廃絶がついこないだのことだった」という点が気になって仕方ない。劇中ならざる現実の世界で実現するためには何が必要なのだろうか。ドラマのこと、永久欠番になったこととは別に、心をひかれる。

ウルトラセブン 第12話「遊星より愛をこめて」に登場したスペル星人

【追記】ふるさとの星が放射能汚染され、血液を冒された宇宙人が、地球人の女性や子供の血を求めて地球にやってくるというストーリー。実相寺昭雄監督の演出もいい。ウルトラQで江戸川由利子を、またウルトラマンではフジ・アキコ隊員を演じた桜井浩子もゲスト出演している。いまや永久欠番で観ることは困難だが、いつか日の目を見る日を待ちたい。