静岡県三島市のスーパーとマンションの複合ビルの脇の道、小さなせせらぎも流れる路地沿いにポケットパークが完成!
このタワーは昭和5年(1930年)に造られた水道用の貯水槽。
タワーの側には手押しポンプの井戸も。
三島のまちなかには、富士山や箱根山麓からの湧水がたくさんあります。湧水から流れ出る小川やせせらぎは、炊事や洗濯などの生活の場として使われていたそうです。たとえば小川の中でスイカを冷やしたり、大根を洗ったり。
そんな営みが続いていた三島のまちに造られたのがこの水道。
中央水道跡
この建設物は小中島中央水道の初期の貯水槽です。
井戸や川の水を生活水に利用してきた周辺の家々に水道を供給するため、昭和5年に、本町小中島商店街の有志9人が協力して施設簡易水道を建設しました。
高さ10m直径5.7mの塔の上部に汲み上げられた地下水が、周辺の148世帯に供給されていました。
引用元:「中央水道跡」の解説プレート
給水用のタワーは86年前、この町の有志の人たちがつくったものだったのです。
きっとそんな謂れがあるからでしょう。ポケットパークの建設にあたっては、毎週土曜日、地元の人たちも一緒に作業を進めていました。
こぢんまりした公園ですが、昔の町家の坪庭みたいな雰囲気です。木々が少しずつ成長していくにつれて、この公園も町の景色に溶け込んでいくことでしょう。
50mくらい離れたところには、中央水道を汲み上げていた井戸も残されています。
平成15年(2003年)に三島市の上水道に切り替わるまで、70年以上も使われてきたそうです。タワーの保存を求める市民の声で建物は取り壊されずに残り、今年の春、ガーデンシティ事業で公園としてよみがえりました。
富士山とせせらぎのまち三島に誕生した、小さな観光スポットのお話でした。