サブドレン・地下水ドレン水のトリチウム濃度の気になる動き

東京電力は2月に海洋(港湾)に排出したサブドレン・地下水ドレン水の「加重平均サンプル分析結果(※)」を発表した。

海洋への排出量はついに15,000トンを突破。地下水バイパスから2月に排出量されたのが5,812トンだったことを見ると、地下水の海洋排出の主役はサブドレン・地下水ドレンであることは明らかだ。

サブドレン・地下水ドレンのトリチウム濃度(折れ線:左軸で単位はベクレル/リットル)と排水量(棒グラフ:単位はトン)の推移

サブドレン・地下水ドレンは2月には合計20回の排出が行われている。最近では排出ペースはほぼ毎日に近づきつつあるが、設備のキャパシティからして排出量がどこまでも増え続けるとは考えにくい。

注目すべきなのは折れ線グラフで表示しているトリチウム(H3)濃度だ。

9月にサブドレン・地下水ドレンの運用が始まった9月には440Bq/Lと高めだったが、それ以後200Bq/L台で推移してきた。それが2月には1月分の2倍以上に跳ね上がっている。

地下水バイパスでもトリチウム濃度の上昇が続いているが、海洋排出された地下水全体としての濃度はせいぜい200Bq/Lだ。汚染前の地下水を組み上げている地下水バイパスと、汚染された地下水から放射性物質を取り除いて排出しているサブドレン・地下水ドレンとでトリチウム濃度に差が出てくるのは当然だが、580Bq/Lという汚染度はかなり高い。

東京電力は海洋排出を行う運用目標として1リットル当たり1,500ベクレルという数値を公表しているが、サブドレン・地下水ドレンにおけるトリチウムの濃度上昇は大きな懸念といえるだろう。

※筆者注:加重平均サンプルとは、排水前に採取した試料を各回の排水量に比例した割合で混合した試料のこと。要するに実際に排出した水全体の平均値ということ。