スマホやタブレットなど今や欠かすことができない充電池。その優れた材料として需要が急増しているのが「リチウム」です。
このリチウム、どこに多く存在しているかご存じですか?
リチウムがある場所は偏っており(※海水にもごく薄い濃度で存在します)、その大半はチリ、ボリビア、アルゼンチンの3つの国境が接するエリアに点在する塩湖に存在します。その埋蔵量は世界の約8割を占めるとも言われています。現在、最も多く産出されているのはチリのアタカマ塩湖で、全世界のおよそ3分の1の生産量を誇っています。
リチウムを用いた充電池はハイブリッド車など、今後もさらに必要とされ、世界各国の争奪戦が激しくなっています。
なかでも最も注目されているのが、埋蔵量の約50%が存在するともいわれるボリビアのウユニ塩湖です。同塩湖では現在、リチウムの産出はほとんど行われておらず、その眠っている豊富な資源を求めて、日本を始め世界各国が開発権の獲得を争っているのです。
この話を聞くと、ウユニ塩湖の景色に魅せられた旅行者のひとりとしては、どうしてもその開発の行方が気になってしまいます。
リチウムは主に塩湖や鉱石から採取されます。塩湖からの抽出方法は、まずリチウムを含んだかん水を蒸発池で天日干しをして濃度を6%までに高め、そこからホウ素やマグネシウムなどの不要物を取り除く方法が一般的です。
アタカマ塩湖でもこの方法が用いられており、同塩湖で採取しているチリの大手企業は、塩湖に200本もの組み上げ井戸を堀り、サッカー場ほど大きさの蒸発池を数十(※総面積約10平方kmとのこと)造ったといいます。
今、各国が開発しようとしているウユニ塩湖は、「世界一の奇跡の絶景」とも称される場所です。四国のおよそ半分という広大なエリアが、乾季には一面真っ白な塩の大地に、雨季には水が薄く溜まって巨大な鏡のようになり、それは息を呑むような美しさです。
ウユニ塩湖はアタカマ塩湖とは自然条件が異なるので、必ずしも同じ方法で生産されるとは限りませんが、世界でも類まれなる自然へのインパクトを最大限減らした開発を心から願わずにいられません。
日本(※日本企業)は世界でも有数のリチウム輸入国です。以前、金の採掘で大きく形を変えた鉱山を見たことがありますが、ウユニ塩湖は同じ道をたどらずに、今ある姿のままで次世代にも残ってほしいと思います。