乱獲や密猟により絶滅の危機に瀕する動物たち

キタシロサイ

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先日、地球上で最後の1頭となったピンタゾウガメのロンサムジョージについて、ご紹介しました。

ロンサムジョージの話は何も珍しいことではなく、絶滅の危機に瀕している生き物はほかにも数多くいます。なかでも、特に深刻なのがキタシロサイです。キタシロサイは現在、地球上にごくわずかしか残っておらず、いずれも高齢で自然繁殖は難しいために、まさに絶滅寸前の動物です。

キタシロサイがこのような状況に追い込まれた理由もまた「人間による乱獲や密猟」です。

乱獲や密猟により絶滅の危機にある動物について

キタシロサイは2つの亜種がいるシロサイのうちの1亜種で、かつてはチャド南部からコンゴ民主共和国までの中央アフリカに多く分布していました。世界自然保護基金(WWF)によると、1960年に2,000頭以上いたキタシロサイは、その24年後には密猟などによりわずか15頭にまで激減したそうです。

そして現在、キタシロサイは野生にはおらず、世界で唯一生き残っているのは、ケニアのオルペジェタ自然保護区で飼育されている3頭のみです。

なぜ、キタシロサイは乱獲されてしまったのか?

それは角が漢方薬などとして珍重されていることにあります。言い方は少し悪いかもしれませんが、ただそれだけのために命を奪われています。しかも、西洋医学によればサイの角の効用はほとんどないそうです。さらに付け加えると、サイの角は切り落としても再び生えてきます。にも関わらず、殺されて角だけが切り落とされているのです。

密猟はキタシロサイだけではなく、クロサイなどほかの種のサイにおいても行われています。クロサイは1960年代に10万頭もいましたが、一時期、2,410頭まで減ったといいます。

そして、このような密猟はサイだけに限りません。以前、ぽたるページで少しご紹介した、ゾウもそのうちのひとつです。

人間が生きていく上でやむを得ない理由というのではなく、ただ、工芸品や印鑑、(効能がほとんどないとされる)漢方薬などを作るために、多くの動物が命を落としているのです。

昨年、WWFが公表した報告書によると1970年から40年間で世界の生物種の個体数は約52パーセントも減少したといいます。低下の主な原因は、人間による乱獲や密猟、生息地の消失や劣化などです。

絶滅の危機にある動物を減らすために私たちにできること

人間による密猟や乱獲で絶滅した、もしくはその危機にある動物がいる一方、人間の保護活動により、その数を回復したものもいます。

2,400頭あまりにまで減ったクロサイはその後、保護活動により約4,200頭まで回復しています(絶滅の危機があることには変わりありませんが)。

また、キタシロサイと同様にシロサイの1亜種であるミナミシロサイは、1895年に100頭以下にまで減って絶滅寸前にまで追い込まれましたが、その後の保護が実を結び、現在、2万頭以上にまで回復しています。

このように保護活動は絶滅の危機にある動物を救う上で重要です。しかし、それと共に密猟を行わせる需要を私達が作らないことも必要です。これ以上、人間の身勝手に近い理由で絶滅の危機に瀕する動物を生み出さないようにするために、命を落としている動物たちがいることを一人ひとりが意識していくことが大切なのではないでしょうか。

オルペジェタ自然保護区

参考WEBサイト