戦争と人間。この質疑は必見「地元の警察の報告によれば、子供や女性達も手首を縛られ、目隠しをされた状態で殺害されていた」

公共放送NHKが放送しない参議院特別委員会。YouTubeの国会審議中継を見て涙が溢れた。国会中継でこんな話を聞くなんて。子供たちにぜひ見せたい動画だ。

生活の党と山本太郎となかまたち、山本太郎共同代表による2015年8月25日の質問。戦争が人間性への犯罪であり、今後日本の自衛隊が送り出されることになるかもしれない世界の戦場で何が行われてきたのか、また、第二次世界大戦で日本の国民が受けたことが何だったのか、そして安保法制を推し進める現在の政権が戦争の犯罪性に関していかに「見ざる言わざる聞かざる」を通しているか。18分ほどの短い質疑の中で明かされた。ぜひ動画をご覧頂きたい。

山本太郎8/25「総理との一騎打ち 」【全19分】

《一部、内容を文字起こし》
以下に掲載する質疑は「IWJ Independent Web Journal」に掲載された文字起こしを元に、YouTubu動画の発言から校正したもの。

◆動画冒頭

山本議員「『生活の党と山本太郎となかまたち』のお時間がやってまいりました。共同代表の山本太郎と申します。よろしくお願いいたします。本日の質疑は17分しかありません。中谷大臣、岸田大臣、ご安心ください。本日は総理との一騎打ちであります。後ろの方、ぜひ助太刀はおやめください。よろしくお願いいたします。

 以前7月30日、本委員会での私と安倍総理との質疑の中で、戦争にもルールがあるというお話になりました。民間人の殺害、軍事施設以外への攻撃、捕虜への拷問などの禁止、これは完全な国際法違反です。それらを禁止したものがジュネーブ諸条約、国際人道法などであり、日本はこれらの条約を批准しています。我が国はルール違反を許さない立場であります。

 総理、我が国はジュネーブ諸条約、国際人道法など、国際法に違反する他国への支援、協力は行わないということを総理のお言葉で確認していただけますか」

安倍総理「自衛隊が活動するにあたってですね、国際法を遵守し、国際法上、違法な行為に対する支援を行わないことはですね、当然なことであります。ある国がジュネーブ諸条約を初めとする国際人道法に違反する行為を行っている場合、そのような行為に対して、我が国が支援や協力を行うことはございません」

引用元:山本太郎8/25「総理との一騎打ち 」【全19分】 - YouTube/IWJ Independent Web Journal【安保法制国会ハイライト】

◆3分9秒あたりから

(山本議員)
では、何が戦争犯罪なのか、どこが国際法違反なのか、その線引き、どんな感覚で行われるかといういくつかのケースをもって、最高責任者である安倍総理にお訊きしようと思います。

 イラクの戦場にも足を運ばれました、フリージャーナリスト、志葉玲さんの資料では、2006年3月15日、イラク中部のイシャキ村で起きた一家惨殺事件の例があげられています。ウィキリークスによって流出した米軍の内部文書、現地報道などによると、手錠をかけられ無抵抗な状態で家にいた11人を米軍は銃殺。この事件、地元テレビでも報道され、その映像はBBC、CNNなど、欧米メディアも伝えましたが、日本のメディアはこれらの映像を全く使わなかったそうです。

 この事件について、米軍はメディアに対し、『イラクのアルカイダ・ネットワークの支援者を捕まえるために民家を攻撃したんだ。敵から銃撃を受け、兵士達は応戦した』

 そのように主張しました。あ、そう聞くと一瞬、なるほど、テロリストの掃討作戦だったねと思っちゃいますよね。でもですね、米軍が踏み込んだのは、そして殺害に及んだのは、地元小学校の教師であった当時28歳、ファイズ・ハラットさんの家でした。米兵に殺された中には生後5ヶ月、3歳、5歳のファイズさんの子供達、そして3歳の甥っ子、5歳の姪っ子も無慈悲にも殺害されました。

 被害者の中には、家を訪ねてきていた若い男女もいました。この2人は婚約者同士、次の週に結婚する予定だったそうです。地元の警察の報告によれば、子供や女性達も手首を縛られ、目隠しをされた状態で殺害されていた。また米兵達はファイズさんらを殺害後、家を爆破した上、家畜までも殺していったそうです。総理、これ戦争犯罪ですよね。国際法違反ですよね。いかがですか」

安倍総理「今、山本議員からご紹介した事案について私は承知をしておりませんので、今ここで論評することは差し控えたいと思います」

山本議員「当時ですね、小泉内閣の官房長官であった安倍総理なんですけれども、これ一般論で答えてくださいよ。今のケースでわかるでしょう。後ろに手を縛られて無抵抗な状態です。頭にも布をかけられていた。11人殺された。子供も含まれている。この状態、普通に言って、戦争犯罪じゃないですか。国際法違反じゃないですか。いかがでしょう」

安倍総理「実際にその、そういう行為が行われたかどうかですね、今私自身、確認のしようがございませんので、米軍の行為として、いま例としてあげられたわけでございますので、それについて確認しないでですね、お答えすることは差し控えたいと思います」

山本議員「なるほど。2つ考えられると思います。1つは逃げた。そしてもう1つは本当にその事件を知らなかったから答えようがない。その2つのいずれかだということだと思います。

引用元:山本太郎8/25「総理との一騎打ち 」【全19分】 - YouTube/IWJ Independent Web Journal【安保法制国会ハイライト】

◆6分45秒あたりから

俳優でもある山本議員が何度も噛んでいる。まともにすらすらと喋ることができないような、内容。

(山本議員)
 次のパネルお願いします。

 米軍による民間人が暮らす地域への空爆、市民への殺害など、度重なる非人道的行為にイラクの人々は疑問を持ちます。モスク、礼拝所ですよね。モスクに対する攻撃、子供達の学校を占拠し、その正面に戦車を置いて米兵が駐留したことに憤りを感じた、ファルージャ。ファルージャのお父さんお母さん達は学校の占拠はやめてくれと、デモを行います。そのデモ隊に対し、治安の安定化と称し、米軍は沈静化に動きます。

 米兵の威嚇発砲にデモ参加者が驚き、民家の中に逃げ込み、その後を数人の米兵が追いかけて、家の中でデモ参加者を射殺。民主的な行動で訴えを起こす人々に対して、乱暴狼藉のかぎりをつくす米軍への反発で日に日にデモの規模、膨れあがっていきます。すると米軍は直接、参加者を銃で撃つようになっていったそうです。

 米軍は占拠した学校の屋上に土嚢を積み上げ、住民を狙撃する拠点をつくったそうです。そうして2004年4月に続き、米軍は大規模な作戦を展開、ファルージャ総攻撃、ご存じですよね、皆さん。報道陣は街からシャットアウトされます。米軍は街を完全に包囲します。

 人々が街から出れないようにし、食料や医薬品も外から供給できない兵糧攻めの状態をつくりました。完全に遮断された状況にしびれを切らせた、40名を超えるイラク人、医療関係者が医薬品を持ってバクダットから駆けつけ、ファルージャ総合病院を目指しましたけども、17名の医療関係者は米軍に射殺されました。

 2004年11月、完全包囲されたファルージャの街に激しい空爆、砲撃が始まります。ファルージャ総合病院は米軍に占拠されました。市内にあった2つの診療所は米軍が空爆しました。米軍の空爆によって火事が起きた場所、そこで消火活動をしていた地元の消防士、警官までも米兵は攻撃しました。「夜間外出禁止」という理由からです。

 この頃のイラク、米軍の上層部から各兵士に命令される交戦規定、戦場のルールですよね、交戦規定は毎日のように、下着を着替えるように、振り向く度に、次々と、この交戦規定が変わっていったと言います。

 攻撃されていなくても、不審な人物と思ったら発砲してよし、不安を感じたら発砲してよし、目が合えば発砲してよし、イスラム教徒の衣装のものは敵対していると見なして、撃ってよい。路上に居る者は全て敵の戦闘員と見なせ、息をしているものは全て撃て。

 『冬の兵士 良心の告発』というDVDで証言するファルージャ攻撃に参加していた元海兵隊員は、空爆、砲撃が続いていたある時期、ファルージャの住民に対し、米軍は14歳以上の男子を戦闘可能年齢とし、街から出ることを許さず、それ以外の子供や女性を外に出そうとしたと言います。男性の家族と別れるか、もしくは死を覚悟して一緒に残るか、究極の選択を米軍は迫りました。14歳以上の男子、戦闘可能年齢として避難をすることを米軍は許しません。

 米軍から確実に攻撃を受ける場所に、中学生、高校生くらいの息子をおいて、母親が避難できますか?

 少年や男性だけを残して避難できなかったそんな人々がたくさんその場に留まり、実際に、街から出たのは、わずかな老齢の女性たちだけでした。

 2004年の最初のファルージャ攻撃では700人以上が殺害され、2回目の11月、ファルージャ総攻撃では、行方不明者は3000人に及び、6000人もの住民が殺されたと言われます。中には、白旗を握りしめたままで発見された少年の遺体もあったそうです。

引用元:山本太郎8/25「総理との一騎打ち 」【全19分】 - YouTube/IWJ Independent Web Journal【安保法制国会ハイライト】

◆10分56秒あたりから

(山本議員)
安倍総理、これ、米軍が行ったまぎれもない国際法違反、戦争犯罪ですよね」

安倍総理「ま、ただいまですね、えー、山本議員が縷々お話をされたわけでございますが、えー、私が今、それがですね、えー、中身について検証する材料をもっていないわけでございますので、えー、コメントは差し控えたいと思います」

引用元:山本太郎8/25「総理との一騎打ち 」【全19分】 - YouTube/IWJ Independent Web Journal【安保法制国会ハイライト】

◆同様の質問を繰り返した後、12分10秒あたりから

山本議員「なるほど。事実がどうかがわからないから、私は確認できていないから、それを判断するのは難しいと。確かに、そういう部分もあるでしょう。でも、そのような事態があったとしたら、これはまぎれもない、国際法違反であり、戦争犯罪だと思います。

 え~、では、分かりました。じゃあ何が戦争犯罪かっていうことを、もっとわかりやすいたとえ、総理には必要だな、ということを今感じたので、お聞きしたいと思います。

 米軍による爆撃、我が国も受けております。広島、長崎、それだけじゃない、東京大空襲、そして日本中が空爆、爆撃をされた。それによって50万人以上の方がなくなっていますよ。この50万人の中に、そのほとんどを占めるのが一般市民じゃないですか?

 子供、女性、民間人への無差別攻撃、アメリカによる、広島、長崎の原爆投下、それだけじゃなく、東京大空襲を含む日本全国の空襲、民間人の大虐殺、これは、戦争犯罪ですよね?国際法違反ですよね?いかがですか?」

引用元:山本太郎8/25「総理との一騎打ち 」【全19分】 - YouTube/IWJ Independent Web Journal【安保法制国会ハイライト】

◆ここで驚くべき展開。13分12秒、安倍総理が岸田外務大臣を指さし、総理に変わって外相が答弁する。

委員長「岸田外務大臣」

岸田外相「あの、広島、長崎への原爆投下等が、国際法違反かというご質問でありました。これは、こうした行為は、その、この、絶大な破壊力、あるいは、殺傷力故に、国際法のこの思想的基盤にあります、人道主義の精神に合致しない、このように、我が国は理解をしております。国際司法裁判所等においても、そうした議論が行われていると承知をしております」

山本議員「ま、本当に、奥歯に何かが挟まったようなものの言い方なんですね。はっきりしてるんですよ。当時はジュネーブ条約なんかなかったけど、ハーグ陸戦条約があったじゃないですか。民間人の攻撃、無差別攻撃は禁止されてましたよ。これ、完全なる国際法違反であり、戦争犯罪じゃないですか?これに対して、どうしてはっきり言えないんですか、総理? 総理、このことを知ってるじゃないですか?

 それでも、答えようとしないんですか?代わりに外務大臣に答えてもらって、おかしな話ですね。言えないんですね、宗主国様のことははっきりとは。

 過去の米軍の過ちを認められないものが、どうやって戦争犯罪常習国である米国の行動をこの先、ジャッジできるんですか?この先、米軍が戦争犯罪を行った場合、総理が我が国の最高責任者として、米軍の行動を止めるんですよね。自衛隊、撤退させられるんですよね。

 大丈夫ですか、総理?」

安倍総理「先ほど、え~答弁させて、行ったようにですね、自衛隊が活動するにあたってですね、国際法を遵守し、国際人道法に違反する皇位に対する支援は行わないことは、当然のことであり、これは、対象国、支援対象国いかんにより、変わることはない。これはもう、明確にしておきたいと思います」

引用元:山本太郎8/25「総理との一騎打ち 」【全19分】 - YouTube/IWJ Independent Web Journal【安保法制国会ハイライト】

宗主国様のことははっきりとは言えないから、岸田外務大臣に答弁させたというのは、参議院特別委員会で山本議員との質疑で何度登場した「日本はアメリカの植民地」という指摘を受けてのもの。

◆もう山本議員の持ち時間はわずかになった。15分42秒あたりから

(山本議員)
 今回のルール改正、戦争法案で自衛隊で死者がでるだけでなく、後方支援という名の一体化で、米軍とともに、加害者側になる可能性大なんですよ。イラク戦争時、政権中枢にいたばかりではなく、(現在は)総理までやってらっしゃるんですよね。

 米軍の戦争犯罪である非戦闘員の虐殺、民間人の大虐殺、化学兵器、そうですよ、化学兵器、先ほども出ていました。白燐弾も使った。

 大量破壊兵器を持っている、化学兵器をもっていると言いながら、イラクに入っていったけれども、結局それは何も見つからなかった。当たり前です。

 700回、500箇所、それを捜索したのに出てこなかった。これ、国連憲章違反ですよ、完全な。なのに、大量破壊兵器、そして、化学兵器を使ったのは、アメリカ、イギリスじゃないですか?

 白燐弾、劣化ウラン弾、クラスター爆弾、大量破壊兵器を持っている、化学兵器を使っているといいながら、自分たちがそれで、そのイラクに住む人々を傷つけたわけですよね。これ、検証が必要だと思います。

 総理に言いたいんですけれども、第三者の検証委員会を作っていいただきたいんです。アナン国連事務総長もいってますよ。イラク戦争は違法であると。国連のトップが。それ、検証する必要があるでしょ。イギリスやオランダのように、公開性の高いものを作っていただきたい。

 戦地へ行ったジャーナリスト、現地で支援をしているNGOを入れて。この検証委員会、当たり前でしょ、自衛隊を外に出すのに、過去に出した、それに関しては検証なしですか?ありえませんよね。第三者検証委員会の設立を求めます。総理、いかがでしょう」

引用元:山本太郎8/25「総理との一騎打ち 」【全19分】 - YouTube/IWJ Independent Web Journal【安保法制国会ハイライト】

◆総理に答弁を求めたのに委員長は岸田外務大臣を指名。これに対して18分20秒あたりから

山本議員「総理ってお願いしたんですよ。しかも過去、お手伝いしてるじゃないですか、ちゃんと」

(議場から山本議員へ)「時間だよ!」

山本議員「時間じゃないですよ、求めた答弁者が出てこなかったんですから、当然じゃないですか。

 はっきり言いますよ。自衛隊は、米軍の二軍ではないんですよ。

 過去に出した、自衛隊のその検証ができていないなら、自衛隊の活動を拡大させるわけにはいかないんです。第三者による検証委員会、立ち上げて下さい。以上で、質問を終わります」

引用元:山本太郎8/25「総理との一騎打ち 」【全19分】 - YouTube/IWJ Independent Web Journal【安保法制国会ハイライト】