水難事故に備えた「着衣泳法」について

全国各地から梅雨明けのニュースが届いています♪これからの季節、水辺で遊ぶ機会が多くなり、水難事故が増えてきます。そこで今日は服を着たまま海や川に落ちた際の「着衣泳法」についてご紹介します。

水難事故で死者・行方不明者が一番多いケースは・・・

警察庁が公表している「平成26年中における水難の概況」で、水の事故による死者・行方不明者の行為別の割合を見てみると、水遊び11.1%、水泳中8.5%であるのに対し、魚とり・釣り25.8%、通行中11.6%となっています。ここで言う「通行中」とは、主に通行の際の転落事故などによるものです。

命を落とすような重大な水難事故と聞くと、遊泳中の事故を思い浮かべる方も少なくないかもしれませんが、実は水辺でアクシデントなどが発生し、落水することによるケースが多いようです。

服を着たまま水に落ちた際の着衣泳法について

遊泳等と釣り等における水の事故の大きな違いの一つとして、身に着けている服装があります。水遊びの際などには泳ぎやすい水着を着ているものの、釣りや通行中には普段着です。

日常で着ている服は大変泳ぎづらいものです。例えばたった一枚のシャツですら素材が綿のものですと、ピタッと体に吸い付いて大変動きづらく、下手に泳ごうとすると溺れる危険性が高くなります。

現場の状況や泳力、体力などに差があることから一概には言えないものの、服を着たまま水に落ちた場合には「着衣泳法」を行い、「浮いて待つ」のが基本とされています。

服を着ている際の泳法は、積極的に泳ぐというものではなく、大の字&仰向けの姿勢で浮く「背浮き」、もしくは近くに浮いているものがあるならば、それを抱えて仰向けになる「ラッコ浮き」の状態でいます。この状態を維持をして、救助を待つことが推奨されています。

この背浮きについて、初めて試みた際にはうまくできないかもしれません。ポイントは「肺に空気をたくさん溜めること」と「体全体の力を抜くこと」です。

力を抜いて、めいいっぱい空気を吸うと沈みそうで沈まない微妙なバランスで浮く方が多いのではないかと思います。その際に足や腰などの一部が少し沈むかもしれませんが、口元さえ水面から出ていればいいのです。焦らないで、あまり顎を引かずに真上を見て寝るようするとたいていは浮くはずです。

出典:四日市海上保安部WEBサイト

www.kaiho.mlit.go.jp

逆に服を着たまま水に落ちた際にしてはいけないこととして、四日市海上保安部のWEBサイトには次のように書かれています。

・着ている服や靴を脱ぐ。
・声を出したり、手を振って助けを呼ぶ。
・岸に向かって泳ぐ。

一昔前、服を脱ぐといった話も聞いたことがあったような気もしますが、服には体温低下や外部損傷からの保護及び、場合にはよっては衣類に残っている空気により浮力が得られるというメリットがあるそうです。子供の頃、服を着たまま海に入っていた際には服に空気を入れ、浮力を得て浮いていた記憶もあります。

声を出したり手を振って助けを呼ぶの間違っていないような気もしますが、声を出すことによって肺の空気が抜けたり、手を振ることにより浮力が減少したり、体力を消耗する可能性があります。

服を着ている際には基本、泳がないようにするものの、仮に何かの理由でごく短い距離を移動する際にはクロールよりも平泳ぎの方が泳ぎやすいです。

流れが速い川や荒れた海では背浮きの体勢を取るのは難しいかもしれません。そのような場合、個人的な経験(※着衣状態ではありませんが・・・)だけで言うと、肺に空気を一杯入れた状態でじたばたする激しい動きをしないのが一番いいのではないかと思います。

危険を減らして海や川遊びを楽しむ♪

夏は水辺で活動することが増え、事故が多発する季節です。万が一、アクシデントにより服を着たまま水に落ちてしまった時には、落ち着いて「背浮き」の状態で救助を待つのが基本です。

とはいえ、落ち着いて行動したり、背浮きの体制をいきなりとるのは難しいものです。何度か練習をしておいたほうがいいと思います。

ちなみに、着衣泳法から少し話がそれてしまいますが、もし溺れている人がいたとしても、浮力体なしで救助するのは大変難しいものがあります。必ずペットボトルなど浮くものを確保し、それを渡すなどしてから救助した方がいいと言われています。日本赤十字社などでは、水の事故から人命を守るための講習なども実施しているそうですよ。

水遊びが楽しくなるこれからの季節、リスクを少しでも減らして海や川で楽しみたいですね。

参考WEBサイト

Text:sKenji