2015年5月30日 今日の東電プレスリリース

5月30日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。

「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)

5月27日に発生した車両スクリーニング場でのタンク水漏れの続報

※5月27日午後2時17分頃、福島第一原子力発電所構内の車両スクリーニング場に設置されているノッチタンクのフランジ部2箇所より、水の滴下があることを協力企業作業員が発見した。(既出・中略)

その後、当該ノッチタンクの滴下したフランジ部以下となるように、タンク内の水を別のタンクへ移送を実施し、フランジ部以下まで液位を下げて滴下がない事を確認。また、念のために当該フランジ箇所に受けを設置している。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年5月30日

側溝内に設置された耐圧ホースからの汚染水が漏洩の続報。漏洩した汚染水は全ベータが110万ベクレル以上だと判明

過去に採取したK排水路排水口における全ベータの分析結果は以下のとおり。
・5月27日採取分   29Bq/L(暫定値)
・5月28日採取分 1,200Bq/L(暫定値)(5月29日の「日報」に既出)

K排水路の水は、移送ポンプによりC排水路を経由して、港湾内へ導かれるが、当該側溝内の5ヵ所に土嚢を設置し、バキューム車による水の回収を同日午後1時8分に開始しており、C排水路への流入を極力低減している。

至近の1,000tノッチタンクから3号機タービン建屋への移送実績を確認したところ、5月27日より実施しており、5月28日採取のK排水路排水口の全ベータ値(暫定値:1,200 Bq/L)および、下記の放射能分析結果については耐圧ホースからの水の漏えいの影響と判断した。

5月29日採取した午前7時および午前11時50分のK排水路排水口の放射能分析結果は以下のとおり。
       <5月29日午前7時> <5月29日午前11時50分>
・セシウム134   5.4Bq/L       15Bq/L
・セシウム137    22Bq/L       53Bq/L
・全ベータ    1,400Bq/L     1,200Bq/L

耐圧ホースから漏えいした水が側溝からK排水路を経由し、港湾内に流出したことから、5月29日午後5時35分に核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3に基づき制定された、東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則第18条第11号「核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物が管理区域外で漏えいしたとき。」に該当すると判断した。

耐圧ホースの穴は、縦約1cm×幅約0.2cmであることを確認。耐圧ホースから漏えいした水がK排水路を通じて港湾外へ流出することを防止するため、ポンプによりK排水路からC排水路へ汲み上げており、また、C排水路から港湾内への流出量を抑制するため、K排水路出口付近からバキューム車による汲み上げを行っている。加えて、当該側溝に土嚢を設置し、バキューム車による汲み上げを開始。

なお、降雨が確認されており、当該側溝内水位の上昇に対応するため、土嚢をさらに高く積み上げ、汲み上げを継続している。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年5月30日

漏えい箇所下流側溝内の水、1,000tノッチタンク内汚染水、K排水路排水口、C排水路排水口(K排水路合流点の下流側)の放射能分析結果は以下のとおり。

<漏えい箇所下流側溝内の水>
採取日時:5月29日午前11時30分
・セシウム134  5.6Bq/L
・セシウム137   30Bq/L
・全ベータ   22,000Bq/L

<1,000tノッチタンク>※1
採取日時:5月29日午後2時50分
・セシウム134    44Bq/L
・セシウム137    230Bq/L
・全ベータ  1,100,000Bq/L
※1:午後2時50分に採取した試料には、バキューム車により当該側溝から汲み上げた水を含む。

<K排水路排水口>
採取日時:5月29日午前11時50分
・セシウム134  15Bq/L
・セシウム137  53Bq/L
・全ベータ  1,200Bq/L
採取日時:5月29日午後2時
・セシウム134   9.8Bq/L
・セシウム137   43Bq/L
・全ベータ   6,600Bq/L
採取日時:5月29日午後4時10分
・セシウム134  6.2Bq/L
・セシウム137   25Bq/L
・全ベータ   4,100Bq/L
採取日時:5月29日午後6時10分
・セシウム134  6.4Bq/L
・セシウム137   32Bq/L
・全ベータ   2,600Bq/L
<C排水路排水口(K排水路合流点の下流側)>
採取日時:5月29日午後0時15分
・セシウム134  6.4Bq/L
・セシウム137  24Bq/L
・全ベータ   980Bq/L

K排水路排水口の全βは耐圧ホースから水の漏えいが確認された5月28日以降、5月29日午後2時に採取した試料において6,600Bq/Lを確認した後、減少傾向を示しております(5月30日午前4時5分に採取した試料で全β:450Bq/L)。

福島第一1~4号機取水口内北側(東波除堤北側)、福島第一1号機取水口(遮水壁前)、福島第一2号機取水口(遮水壁前)、福島第一港湾中央においては5月29日朝採取のデータにおいて過去最高値を更新した後、5月29日昼採取のデータにおいては同レベルで推移している。

5月29日採取の福島第一港湾口、福島第一5,6号機放水口北側、南放水口付近海水(排水路出口付近)においては、いずれも検出限界値未満であること、および港湾口連続モニタの値に有意な変動がないことから、現時点では外洋への影響はないものと考えている。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年5月30日

※ 漏洩した原水である「1,000tノッチタンク」のデータが、より少ない値を示している側溝の水と混ざったものだけしか発表されないのはなぜか。

※ 原水である1,000tノッチタンクの全ベータは「110万ベクレル」より高い可能性。

※ 「核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物が管理区域外で漏えいしたとき。」と判断しているにも関わらず、長い報告の最末尾に「現時点では外洋への影響はないものと考えている。」という見解を示すのはなぜか? まったく理解できない。

K排水路排水口放射能分析結果(5月29日・30日分)

「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果|東京電力 平成27年5月30日(その2)」より

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

※タービン建屋地下滞留水の移送は停止中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月29日午前11時22分~)

※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月29日午前11時14分~)

※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・原子炉から使用済燃料プールへ燃料移動中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系停止中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中

地下水バイパス ~通算66回目となる海洋排出の準備が進む

※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日5月20日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年5月30日

地下水バイパス一時貯留タンク分析結果(5月20日採取分)

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール