3月4日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
化学分析棟で手首骨折の作業員についての続報。診断の結果は「右橈骨遠位端骨折」3カ月程度の治療が必要とのことだが、労災認定に関する記載はない。
※3月2日午前8時50分頃、構内の化学分析棟において、協力企業作業員(男性)が作業中につまずいて転倒。その後、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けた結果、右手首脱臼骨折の疑いがあり、緊急搬送の必要があると診断されたため、同日午前9時25分に救急車を要請。なお、当該作業員の身体に放射性物質の付着はなく、自力歩行が可能な状態。(既出)
搬送先のいわき市立総合磐城共立病院における医師による診断の結果、「右橈骨遠位端骨折」と診断された。負傷した協力企業作業員は、負傷した当日に手術を行っており、今後約3ヶ月程度の治療を要する見込み。
3号機使用済燃料プールの冷却を停止の続報。作業が終了したので3月3日の午後3時21分に再起動。
※3号機使用済燃料プール代替冷却系を燃料交換機本体撤去作業に伴う同冷却系への油流入防止のため、3月3日午前6時11分に停止していたが、(既出)
当該作業が終了したことから、同日午後3時21分に同冷却系を起動。運転状態に異常なし。使用済燃料プール水温度は冷却停止時の21.4℃から21.6℃まで上昇したが、運転上の制限値(65℃)に対して余裕があり、使用済燃料プール水温度の管理上の問題はない。
[推定]構内駐車場に停車中のタンクローリーから油漏れ。過去にタンクローリーの車体に付着した油が、降雨による影響で流れ落ちたものと「推定」。
※3月4日午前10時15分頃、構内駐車場に停車中のタンクローリーから油が漏れているとの連絡が緊急時対策本部へ入った。
降雨の影響により、タンクローリー下部に油膜が約2m×約4mの範囲で広がっている状況であったが、現場の状況を確認した結果、車体(積載油およびエンジンオイル等)からの油の漏えいではなく、過去にタンクローリーの車体に付着した油が、降雨による影響で流れ落ちたものと推定。
タンクローリー下部に広がっていた油膜については、同日午後2時に吸着材による回収が終了。なお、本件については、同日午前10時20分に富岡消防署通信司令室へ一般回線にて連絡。同日午前11時30分に双葉消防本部より「車両からの油の漏えい事象」との判断を受けた。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目の記載。加えて、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年3月2日午前10時25分~)
※滞留水移送は稼働
◆3号機
1号機と同じ4項目の記載。加えて、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年3月3日午前9時58分~)
※滞留水移送は稼働
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月3日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
H4エリア周辺地下水E-1の全ベータ値は、44,000Bq/L(採取日:3月2日)となっており、前回採取時の4,300Bq/L(採取日:3月1日)と比較して10倍程度上昇していることを確認。
この値は、過去の変動の範囲内であり、当該観測孔の全ベータにおいては、降雨の際に以前にも上昇が見られていることから、今回の上昇についても、降雨が影響したものと考えている。その他の分析結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
E-1の全ベータ値
2月18日採取 4,200Bq/L
2月19日採取 52,000Bq/L
2月20日採取 30,000Bq/L
2月21日採取 10,000Bq/L
2月22日採取 7,200Bq/L
2月23日採取 6,800Bq/L
2月24日採取 5,600Bq/L
2月25日採取 4,500Bq/L
2月26日採取 5,100Bq/L ※20日以降下降を続けてきたが、前回の1.13倍に上昇
2月27日採取 14,000Bq/L ※前日までの動きとは桁違いに上昇
2月28日採取 4,100Bq/L ※一昨日のトレンドに戻った感じがする
3月1日採取 4,300Bq/L
3月2日採取 44,000Bq/L ※前日から10倍規模の上昇。東京電力は「この値は、過去の変動の範囲内」で「降雨の際に以前にも上昇が見られている」と説明するが、その科学的な根拠は一切示さてはいない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
G-2のトリチウム値
2月18日採取 180Bq/L
2月19日採取 1,700Bq/L
2月20日採取 1,200Bq/L
2月21日採取 1,100Bq/L
2月22日採取 1,200Bq/L
2月23日採取 1,000Bq/L
2月24日採取 210Bq/L
2月25日採取 200Bq/L
2月26日採取 170Bq/L
2月27日採取 1,200Bq/L ※前日までとは桁違いに上昇
2月28日採取 610Bq/L ※前日から約半減
3月1日採取 220Bq/L ※急上昇以前の状態に近づく
3月2日採取 2,000Bq/L ※新規事項としては報告はされていないが、地下水バイパスの運票目標値をはるかに上回っていることは周知してほしい。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
3月3日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水での最高値は「iの北東側」で130Bq/Lに上昇。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」で81,000Bq/Lに上昇。「iiの北東側」は4,200Bq/L。「iiiの北東側」で2,000Bq/L。「iiiの南西側」で11,000Bq/L。(ともに全ベータの値)