2月26日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 2月26日分の日報が公開されたのは2月27日正午過ぎだった。
燃料交換機撤去のため停止していた3号機使用済燃料プールの冷却を再開
※3号機燃料交換機(以下FHM)本体撤去作業に伴い、撤去対象機器に残存している油の3号機使用済燃料プール(以下SFP)代替冷却系への流入防止および当該系統の弁動作確認のため、
2月25日午前6時16分より停止していたSFP代替冷却系について、作業が終了したことから、2月25日午後3時34分に起動。起動後のSFP代替冷却系運転状態については異常なし。
また、SFP水温度は冷却停止時の21.6℃から22.0℃まで上昇したが、運転上の制限値65℃に対して余裕があり、SFP水温度の管理上問題なし。
2号機使用済燃料プールの冷却を停止。弁点検、コンプレッサーユニットの固定作業のため
※2号機使用済燃料プール(以下SFP)代替冷却系について、SFP代替冷却系の弁点検作業およびSFPコンプレッサーユニットの固定作業を行うため、2月26日午前9時10分に停止(2月26日午後11時起動予定)。冷却停止時のSFP水温度は26.8℃。
2号機SFP代替冷却系停止時のSFP水の温度上昇率は0.142℃/hであり、停止中のSFP水温度上昇は最大で約1.9℃と評価しており、運転上の制限値65℃に対して余裕があることから、SFP水温度の管理上は問題ない。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
2号機 〜使用済燃料プール循環冷却系停止中
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月25日午前10時32分~)
※滞留水移送は稼働中
3号機〜6号機
◆3号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月23日午前10時39分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置の運転再開
・セシウム吸着装置運転中
その他の項目に新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月25日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
E-1の全ベータ値
2月18日採取 4,200Bq/L
2月19日採取 52,000Bq/L
2月20日採取 30,000Bq/L
2月21日採取 10,000Bq/L
2月22日採取 7,200Bq/L
2月23日採取 6,800Bq/L
2月24日採取 5,600Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
G-2のトリチウム値
2月18日採取 180Bq/L
2月19日採取 1,700Bq/L
2月20日採取 1,200Bq/L
2月21日採取 1,100Bq/L
2月22日採取 1,200Bq/L
2月23日採取 1,000Bq/L
2月24日採取 210Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年2月26日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
2月25日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水での最高値は「iの北東側」で250Bq/Lに上昇。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」で94,000Bq/Lに下降。「iiの北東側」は5,600Bq/L。「iiiの北東側」で2,800Bq/L。「iiiの南西側」で12,000Bq/L。(ともに全ベータの値)