2月5日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
瓦礫が落下した3号機使用済燃料プール水の分析結果(2月4日採取)
※平成26年8月29日午後0時45分頃、3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業において、燃料交換機の操作卓が当該プール東側中央付近に落下したことを受け、当該プール水のサンプリングを継続実施中。放射能分析結果が前回と比較して有意な変動がないことから、燃料破損等の兆候は確認されていない。(既出)
使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:2月4日)
・セシウム134:2.9×10^2Bq/cm3
・セシウム137:1.0×10^3Bq/cm3
・コバルト60:検出限界値未満(検出限界値:1.5×10^0Bq/cm3)
※1リットルあたりの数値に換算する
・セシウム134:290,000Bq/L
・セシウム137:1,000,000Bq/L
・コバルト60:検出限界値未満(検出限界値:1,500Bq/L)
3号機海水配管トレンチへのグラウト充填再開で予想されるトレンチの水位上昇。運転制限を超えぬよう移送することを発表
※3号機海水配管トレンチの閉塞を目的としたグラウト充填工事について、平成27年2月5日午前10時より作業を開始。また、グラウト充填工事により、当該トレンチの水位上昇が予測されることから、福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画に定められている、運転上の制限(OP+3.5m)を超えないよう管理し、当該トレンチ内の滞留水を必要に応じて3号機タービン建屋(3号機タービン建屋の滞留水の状況により、2号機タービン建屋、または4号機タービン建屋)に断続的に移送する。
【説明】
海側の地中深くに設置されたトレンチから、地下水が海へ流出するのを防止するため、トレンチを充填材で埋めてしまう作業が再開されることになった。トレンチに充填材を入れると、その分水位が上がってしまう恐れがある。トレンチのタービン建屋はつながっているので、トレンチ内の水位が上がるとタービン建屋の溜まり水の水位も上昇すると考えられる。
さて、建屋の周辺には地下水があるが、その水位は建屋内に溜まった汚染水の水位より高いため、汚染水が地下水側に流れ出ることはないとされている。トレンチの水位上昇によって建屋内に流れ込んだ水によって、仮にこの水位が逆転すると、汚染水が地下水側に流れ込むことになる。
そんなことのないように、水位を管理すると表明する発表。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月22日午前9時58分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中。(平成27年2月1日午前9時56分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~第二セシウム吸着装置(サリー)を停止
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
その他の項目に新規事項なし
・セシウム吸着装置運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~通算47回目となる海洋への排出を終了。排出量は1,679トン
平成27年2月4日午前10時4分、海洋への排水を開始。同日午前10時11分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
同日午後4時52分に排水を停止。排水停止状態において異常のないことを確認。排水量は1,679m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成27年2月4日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年2月5日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
2月4日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水での最高値は「iの北東側」で170Bq/Lに下降(前日値は200Bq/L)、「iiiの南西側」で150Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」で79,000Bq/Lに上昇(前日の測定値は72,000Bq/L)。「iiの北東側」は7,500Bq/L。「iiiの北東側」で3,900Bq/L。「iiiの南西側」で10,000Bq/L。(ともに全ベータの値)