1月14日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月22日午前9時58分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中(停止から20日)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 〜集中廃棄物処理施設の建屋間での溜まり水移送を停止
・集中廃棄物処理施設において、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋へ溜まり水の移送を実施。(平成27年1月13日午前10時20分~午後4時12分)
その他の項目については新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成27年1月13日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側 〜地下水観測孔No.1-12汲み上げ水の分析結果の続報。数値は急速に低減したものの…
<最新のサンプリング実績>
平成27年1月12日に採取した地下水観測孔No.1-12の汲み上げ水について、セシウム134、セシウム137、コバルト60および全ベータの値が、前回値と比較して高く、過去最高値が検出された。(既出)
このため、1月13日に再度本観測孔の水を採取。その結果は、セシウム134、セシウム137、コバルト60および全ベータの値とも、前回(1/12採取)から低減しており、ほぼ前々回(1/18採取)の測定結果と同程度の値となっている。
<地下水観測孔No.1-12の測定結果:今回(1月13日)採取分>
・セシウム134: 4.2 Bq/L
・セシウム137: 13 Bq/L
・コバルト60 :検出限界値未満
・全ベータ : 280 Bq/L
<参考:前回(1月12日)採取分>
・セシウム134: 140 Bq/L(お知らせ済み)
・セシウム137: 470 Bq/L(お知らせ済み)
・コバルト60 : 1.9 Bq/L(お知らせ済み)
・全ベータ :15,000 Bq/L(お知らせ済み)
<参考:前々回(1月8日)採取分>
・セシウム134:2.8 Bq/L(お知らせ済み)
・セシウム137:7.8 Bq/L(お知らせ済み)
・コバルト60 :検出限界値未満(お知らせ済み)
・全ベータ :260 Bq/L(お知らせ済み)
その他の採取した測定結果は前回と比較して大きな変動は確認されていない。
幸いなことに、地下水観測孔No.1-12のくみ上げ水サンプルから測定された値は、急速に低減している。しかし、数値が低くなったから良かったというだけでは、将来に向けての問題解決にはならない。なぜ下がったのかが重要だ。
これまでの別の観測ポイントにおいても、下がった後の考察は「仮説」レベルにとどまってきた。現状として地下水の動きが読みにくいことが現実であるとしても、その原因に少しでもアプローチしていくことが重要なのは言うまでもない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年1月14日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
1月13日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水で最高値は「iの北東側」で150Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」での82,000Bq/Lと微増。「iiの北東側」で6,700Bq/L。「iiiの南西側」で11,000Bq/L。(ともに全ベータの値。1立方センチ当たりで発表された数値をリットル単位に換算)