12月18日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
Jタンクエリアで接続していない配管にALPS処理水を流し、堰の外に漏らしてしまう
コラムですでに既報の通り、12月17日午後3時頃、タンクエリア間の未接続の配管に多核種除去設備(ALPS)処理水を流したため、タンクエリアからの溢水防止のために設置されていた堰の外に水を漏らしてしまう。漏洩量は約6トンとのこと。
以下に日報の記載を引用。内容は17日発表のものと変わりない。問題点の指摘については上記の記事をぜひご参照ください。
※平成26年12月17日、多核種除去設備処理水をJ6タンクエリアに移送していたが、J5タンクエリアとJ6タンクエリアの配管が一部接続されておらず、同日午後3時頃、当該処理水が漏えいした。当該処理水は堰外に漏えいしたが、当該接続配管の弁を閉じて、漏えいは停止。また、漏えい箇所近傍には排水溝はないため、海への漏えいはないことを確認。なお、モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されていない。
現場確認の結果、漏えいした水は近くの土壌に染みこんでいること、また配管トレンチに溜まっており、その先も土嚢により流出が止まっていることを確認したことから、海への流出はないと判断した。漏えい量は、移送量と移送時間から約6トンと推定。
至近(12月15日)における当該処理水の分析結果は、以下の通り。
・多核種除去設備A系処理水:8.9×101 Bq/L(全ベータ)
・多核種除去設備C系処理水:1.2×102 Bq/L(全ベータ)
また、本件については、12月17日午後4時25分に核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法令第62条の3に基づき制定された、東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則第18条第12号「発電用原子炉施設の故障その他の不測の事態が生じたことにより、核燃料物質等(気体状のものを除く)が管理区域内で漏えいしたとき。」に該当すると判断した。
その後、配管トレンチ内の溜まり水(雨水も含む)については、同日午後7時35分に回収を完了。回収量は約9m3。漏えい水が染みこんだ土砂については、同日午後5時30分までに約20m×約0.5mの範囲で回収している。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月5日午前10時47分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中。(平成26年12月14日午前9時34分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
12月17日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
上記の資料では11月3日採取したサンプルのストロンチウム-90濃度が公開された。過去の数値を超えるものではないが、
○地下水観測孔No.1-6で、920,000ベクレル(1リットル)
○地下水観測孔No.1-16で、570,000ベクレル(1リットル)
と極めて高い測定値だった。
1~4号機サブドレン観測井 ~2号機周辺のサブドレンNo.18、19の分析結果(12月16日採取分)
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
前回(12月11日採取分)と今回(12月16日採取分)の比較(いずれもBq/L)
○No.18
セシウム-134 3,300 → 4,200
セシウム-137 12,000 → 15,000
全ベータ 15,000 → 17,000
トリチウム 1,200 → 970
○No.19
セシウム-134 1,300 → 1,600
セシウム-137 4,600 → 5,600
全ベータ 5,700 → 6,800
トリチウム 1,500 → 1,500
閉塞を行ったはずだが、数値は微増傾向。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年12月18日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
12月17日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水で最高値は「iの北東側」での210Bq/L。「iiiの北東側」で460Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」での78,000Bq/L。(ともに全ベータの値。1立方センチ当たりで発表された数値をリットル単位に換算)