12月5日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
1号機建屋屋根パネルの破れた部分の補修を発表
※1号機の原子炉建屋カバー屋根パネル2枚(北3,南3)の戻し作業については、12月4日午前8時31分に1枚目(北3)、同日午後0時9分に2枚目(南3)の戻し作業が終了。ダストモニタおよびモニタリングポストの指示値については、有意な変動は確認されていない。
また、本作業に合わせ、10月28日に発生した、屋根パネル孔部(南2屋根パネルNo.36)の開口拡大について、南3屋根パネルに拡大した孔部を覆うためのはね出し部材を取り付け、南3屋根パネルを戻したことにより、拡大した孔部を上面から覆う処置を実施。
補修部材の取り付けは、12月4日発表の写真ですでに公表されている。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
2号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水、移送先を変更(移送先は隣の3号機タービン建屋)
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年11月26日午前10時23分~12月5日午前9時36分)
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月5日午前10時47分~)
隣接する3号機タービン建屋地下への移送先切り替えによって、移送の流量は増加すると見られる。(配管内圧によるロスが低減するため)
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~第二セシウム吸着装置(サリー)を再稼働・サイトバンカ建屋からプロセス主建屋へ溜まり水を移送
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・集中廃棄物処理施設において、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋へ溜まり水を移送中(平成26年12月5日午前11時8分~)
以下の項目については前日からの変更なし
・セシウム吸着装置停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算37回目となる海洋への排出を終了。排出量は1,386トン
12月4日午前9時52分、海洋への排水を開始。同日午前9時56分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
午後3時26分に排水を停止。排水停止状態において異常のないことを確認。排水量は1,386m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
12月4日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側 ~海の間近の地下水観測孔No.1-8でトリチウム濃度が過去最高値
新規事項なし
海のすぐ近くの地下水観測孔No.1-8でトリチウム(三重水素:H-3)が7,100Bq/Lを記録。これまでの最高値は11月24日の4,500Bq/Lだった。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年12月5日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
12月4日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水で最高値は「iの北東側」での230Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」での66,000Bq/L。(ともに全ベータの値。1立方センチ当たりで発表された数値をリットル単位に換算)