2014年11月14日 今日の東電プレスリリース

過去最高の汚染度を記録している1・2号機ウェルポイント汲み上げ水について、「タービン建屋側からの流入はない」「海域への流出もない」と表明。根拠は上下流がわの観測孔の検査結果のみ

11月14日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発の現状を読み進めます。

海から約30メートルしか離れていないウェルポイントで、マンガン-54、全ベータ、セシウム-134、セシウム-137が過去最高値をさらに更新する上昇があったことを発表

「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(護岸地下水サンプリング箇所) | 東京電力 平成26年11月13日(その2)」として11月13日には発表されていたが、日報では1日遅れの発表になった。遅くとも14日の14時時点では発表されていたのだが。

※1・2号機ウェルポイント汲み上げ水のマンガン54について、再度分析したところ、前回値が54Bq/L(採取日11月10日)だったが、今回の分析値は110Bq/Lで、過去最大値となった。

また、セシウム134については、前回値が検出限界値(4.2Bq/L)未満(採取日11月10日)だったが、今回の分析値は920Bq/L、セシウム137についても、前回値が9Bq/L(採取日11月10日)だったが、今回の分析値は3,000Bq/Lで、前回値と比較し10倍以上の変動であり、過去最大値となった。

なお、全ベータを分析したところ、前回が210万Bq/L(採取日11月10日)だったが、今回の分析結果は320万Bq/Lで過去最大値となった。

1・2号機ウェルポイントの上流側(山側)にある地下水観測孔No.1-16およびNo.1-17について分析したところ、No.1-17の全ベータが前回と比較して10倍以上の上昇は見られるものの、過去の変動範囲内であり、その他の核種においては前回と比較して有意な変動はないことから、

タービン建屋側から1・2号機ウェルポイントへの流入はないと判断。

また、1・2号機ウェルポイントの下流側(海側)にあるNo.1-9の全ベータについても分析したところ、前回と比較して有意な変動はないことから、

海域への流出もないと判断。

なお、1・2号機ウェルポイント汲み上げ水の放射能濃度が上昇した原因としては、先月から実施しているウェルポイント改修工事の影響によるものと考えているが、引き続き原因調査を行うとともに、今後も監視を継続していく。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月14日

「タービン建屋側から1・2号機ウェルポイントへの流入はない」「海域への流出もない」と判断するのであれば、過去最高値と比較して1ケタ、核種によっては2ケタも高濃度に汚染された地下水が、どこから来て、どこへ移動しているのかを徹底的に解明する必要がある。

東京電力は判断の根拠として近隣観測孔の検査結果をあげているが、観測孔相互の関連は必ずしも明確ではない。むしろ、近接する観測孔での数値が低いのに、1・2号機ウェルポイントだけで汚染度が顕著に上昇していることそれ自体が大きな問題だ。

地下水バイパスに加え、サブドレン水まで海洋排出する計画に対する反対が高まる中、海の汚染との関連が懸念される地下水の動きについては、明確な説明が不可欠だ。

2号機西側サブドレンNo.18、No.19の汚染濃度上昇を防ぐため、連結管で接続されているNo.17の閉塞作業を開始

※2号機原子炉建屋西側に設置されているサブドレンNo.18およびNo.19について、10月22日および23日にサンプリングした水のセシウム134およびセシウム137が、その周囲のサブドレンの水に比べて高い放射能濃度であることを確認。
(既出)

現在の当該サブドレンの放射能濃度は、当該サブドレン揚水ポンプ停止後大幅に低下しており、その後の放射能濃度に変化は認められていない。

当該サブドレンに高い放射能濃度が検出された原因については、サブドレン浄化性能確認試験の一環で、当該サブドレン揚水ポンプを稼働させた際に、当該サブドレンと連結管でつながっているサブドレンNo.15、No.16、No.17ピットから、高濃度の放射能物質を含んだ水を徐々に引き込んだものと推定。

このことから、11月14日午後より11月下旬頃にかけて、当該サブドレンに連結管で接続されている中で最も近くに位置するサブドレンNo.17ピットの閉塞作業を行い、当該サブドレンへの汚染源の流入を遮断する。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月14日

臨界防止のためのホウ酸水タンク移設に関する一連の作業が終了

核分裂連鎖反応を抑制する効果があるホウ酸水のタンクを、コンクリート製の堰(耐薬品性の塗料を塗布)内に移設するため、A、B2つのタンクの内容物を移動させた上で作業が進められていた。

同日午後1時12分に本作業が終了。

作業終了後、ほう酸水タンクの水位、温度および濃度を測定し、実施計画III特定原子力施設の保安第1編第23条に定める運転上の制限「ほう酸水タンクの水位および温度が管理範囲内にあること」を満足していることを確認したことから、

11月13日午後5時18分に実施計画III特定原子力施設の保安第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)の適用を解除。

※同日とは11月13日

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月14日

1号機

新規事項なし

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

※滞留水移送は停止

2号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水、移送を再開(移送先は隣接する3号機タービン建屋地下)

1号機と同じ4項目に加え、

・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月13日午後3時7分~)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月14日

※滞留水移送を再開

3号機~6号機

新規事項なし

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)

※滞留水移送は稼働中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置は2系統とも停止した状態が続いていることになっているが

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中

記者会見資料では13日と同様次のように記載され、第二セシウム吸着装置(サリー)は運転中とされている。

福島第一原子力発電所の状況|東京電力 平成26年11月14日より抜粋
(11/14 11:00時点)

セシウム吸着装置 停止中*1
第二セシウム吸着装置(サリー) 運転中*1

注として別記された*1の内容は、
*1 フィルタの洗浄、ベッセル交換を適宜実施。

引用元:福島第一原子力発電所の状況|東京電力 平成26年11月14日

地下水バイパス

新規事項なし

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

11月13日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月14日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月14日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月14日

1~4号機タービン建屋東側

新規事項なし

1・2号機ウェルポイントのトリチウム(H3)濃度(11月10日採取のサンプル)が追記される。濃度は89,000 Bq/Lだった。過去最高値は平成25年8月19日の460,000 Bq/L。マンガン-54の濃度が54Bq/Lだった10日のサンプル採取である点は要注意。マンガン-54がさらに高まった13日のサンプルについてのH3濃度は追って発表されるものと思われる。