増設多核種除去設備C系で、RO濃縮水を使ったホット試験(実際の汚染水を使った試験)を開始。A系に続けてということか
10月9日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
3号機使用済み燃料プール水の測定内容が1週間ぶりに
※8月29日午後0時45分頃、3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業において、燃料交換機の操作卓が当該プール東側中央付近に落下したことを受け、当該プール水のサンプリングを継続実施中。放射能分析結果が前回と比較して有意な変動がないこととから、燃料破損等の兆候は確認されていない。
使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:10月8日)
・セシウム134:3.5×10^2 Bq/cm3
・セシウム137:1.1×10^3 Bq/cm3
・コバルト 60:検出限界値未満(検出限界値:1.0×10^0 Bq/cm3)
リットル当たりの線量に換算
・セシウム134:350,000 Bq/L
・セシウム137:1,100,000 Bq/L
・コバルト 60:検出限界値未満(検出限界値:1,000Bq/L)
1週間前とほぼ同等
増設多核種除去設備C系で汚染水を使ったホット試験開始
※増設多核種除去設備C系において、10月9日午前10時23分に、RO濃縮塩水を用いた系統試験(ホット試験)を開始。運転状態については、漏えい等異常がないことを確認。
1号機 〜タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送再開
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、タービン建屋の高濃度滞留水を、隣接する廃棄物処理建屋へ移送
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月9日午前9時26分~)
※滞留水移送は稼働中
2号機~6号機
新規事項なし
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月2日午前11時7分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス 〜通算26回目の海洋排出を終了
同日午前10時14分に漏えい等の異常がないことを確認。同日午後4時25分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。なお、排水量は1,557m3。
※同日とは10月8日
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
10月8日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
H4エリア周辺地下水E-9の全ベータ値が過去最高値
10月8日に採取したH4エリア周辺地下水E-9の全ベータ値は、前回値670Bq/L(10月3日採取値)に対して14,000Bq/L(過去最大値)と約21倍に上昇。過去の最大値は8,300Bq/L(2月28日採取)。E-9については、今年2月の大雨により全ベータ値の上昇が確認されており、今回の上昇についても、台風の大雨による影響と考えられる。今後も監視を継続していく。また、10月7日に採取したH4エリア周辺地下水の全ベータ値が上昇したE-1、およびその他の地点におけるトリチウム分析結果について、上昇は見られない。
※E-9は前日過去最高値だったE-1の北東側(地下水バイパス揚水井方向)
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
※ その2のデータでは「地下水観測孔No.1-6」でセシウム134、セシウム137、コバルト60、全ベータが過去最高値
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年10月9日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
10月8日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水で最高値は「iの北東側」での280Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」での66,000Bq/L。(ともに全ベータの値。1立方センチ当たりで発表された数値をリットル単位に換算)