H4タンクエリアE-1観測ポイントで過去最大の全ベータ値を記録。地下水バイパスでは通算26回目の海洋排出が開始される
10月8日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月2日午前11時7分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算26回目となる海洋排出を開始
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日9月29日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認したことから、(既出)
10月8日午前10時11分、海洋への排水を開始。同日午前10時14分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
10月8日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
H4エリア ~E-1の全ベータ値が95,000 Bq/Lに上昇(10月7日採取分)。降雨による影響とのこと
<最新のサンプリング実績>
H4エリア周辺地下水E-1の全ベータ値は、720Bq/L(10月5日採取値)から95,000 Bq/L(10月7日採取値)に上昇。
(過去最大値:710,000 Bq/L(平成25年11月10日採取値))
原因としては、降雨が影響したものと考える。
今後も監視を継続していく。
なお、10月6日のH4エリア周辺のサンプリング結果については、悪天候のため試料の採取を中止。
10月7日は悪天候のため、南放水口・排水路の一部サンプリングを中止。H4エリア周辺の一部サンプリングについては、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
10月6日は悪天候のため、H6エリア周辺のサンプリングを中止。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。なお10月6日は悪天候のため、一部サンプリングを中止。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年10月8日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
10月7日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水で最高値は「iの北東側」での270Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」での88,000Bq/L。(1立方センチ当たりで発表された数値をリットル単位に換算)